ナショナルウェストミンスター銀行(読み)ナショナルウェストミンスターぎんこう(英語表記)National Westminster Bank P.L.C.(Public Limited Company)

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ナショナル・ウェストミンスター銀行 (ナショナルウェストミンスターぎんこう)
National Westminster Bank P.L.C.(Public Limited Company)

イギリスの四大クリアリング・バンク(ロンドン手形交換所加盟の預金銀行)の最大の銀行。1968年,当時クリアリング・バンク中第4位のウェストミンスター銀行Westminster Bankと第5位のナショナル・プロビンシャル銀行National Provincial Bankおよび独立系のディストリクト銀行District Bankの3行が合併して生まれた。この合併はイギリス銀行史上最大の規模で,これに続く合併ラッシュの口火となった。前身のウェストミンスター銀行は,1833年のイングランド銀行条令改正時に設立されたロンドン・アンド・ウェストミンスター・バンクLondon and Westminster Bankに始まるが,さらには17世紀のゴールドスミスバンカーにまでさかのぼることができる。その後1909年にロンドン・アンド・カウンティ・バンクLondon and County Bankを,18年にパーズ・バンクParrs Bankを合併。一方,ナショナル・プロビンシャル銀行も1833年にグロスターで材木商ジョプリンにより設立され,北部ウェールズを中心に発展した。合併の歴史が示すように同行の優位性はリテール・バンキング部門において顕著である反面,国際業務やマーチャント・バンキング(証券引受業務)に進出したのは比較的遅く,外国銀行の進出や証券取引の自由化など競争激化が進むなか,多面的な業務展開を図っている。1983年,同行会長ペンバートンRobert Leigh-Pembertonがクリアリング・バンク出身者として初めてイングランド銀行の総裁に就任するなど,イギリス金融界において隠然たる力を有している。総資産1569億ポンド,預金残高1171億ポンド(1994年12月)。
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