ナツズイセン(読み)ナツズイセン(その他表記)Lycoris squamigera; hardy cluster amaryllis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナツズイセン」の意味・わかりやすい解説

ナツズイセン(夏水仙)
ナツズイセン
Lycoris squamigera; hardy cluster amaryllis

ヒガンバナ科多年草。観賞用に庭園などに栽培され,また墓地などに野生状態で生えているが,本来の自生ではなく,原産は中国大陸あたりと考えられている。地中にある径4~5cmの大きい広卵形の鱗茎から,春に淡緑色の葉を伸ばし,葉は夏に枯死する。8月頃,高さ 60cm内外の直立した花茎を出し,先に4~8個の淡紅紫色の花を散形花序につける。花は外側に向いて開き,花被は6枚あって長さ 10cm内外。三倍体で結実しない。和名は葉がスイセンに似ていて,夏開花することによる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナツズイセン」の意味・わかりやすい解説

ナツズイセン
なつずいせん / 夏水仙
[学] Lycoris squamigera Maxim.

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)の球根草。中国原産で、日本の中部以北にも野生化している。8月に60~70センチメートルの花茎を伸ばし、先端淡紅色のらっぱ形の花を8~10個つける。開花期には葉はなく、翌春、淡緑色で長さ30~40センチメートル、幅3センチメートルの広い葉を伸ばし、この葉は6月下旬には枯れる。植え換えは葉が枯れて花茎が伸びる前に行うが、植え付けが遅れると球根のままで花茎が伸びてくる。日当りのよい場所に15センチメートル間隔に植えるが、2~3年は植え換えをしなくてもよい。普通は種子ができず、分球で殖やす。

[植村猶行 2019年1月21日]


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百科事典マイペディア 「ナツズイセン」の意味・わかりやすい解説

ナツズイセン(夏水仙)【ナツズイセン】

ヒガンバナ科の多年草。本州中部以北の人家付近に野生状態でみられるが,中国から渡来したものが野生化したともいわれる。春,長さ30cm,幅2cmほどの葉が群出し,夏枯れる。8月ごろ,60cmくらいにのびた花茎の頂に,長さ約8cmのラッパ状の花を4〜8個つける。花被片は6枚,淡桃色青みを帯びる。ヒガンバナ同様,3倍体で結実しない。庭園の栽植用,切花とする。植込は開花の前後

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世界大百科事典(旧版)内のナツズイセンの言及

【ヒガンバナ(彼岸花)】より

…日本産のものはL.traubii Haywardとして狭義のL.aureaとは別種扱いされることもある。ナツズイセンL.squamigera Maxim.(英名hardy amaryllis)(イラスト)は花が淡紅紫色で,上記3種のように花被のへりが著しく波打つことはない。本州中部以北の人家付近に野生状態のものが見いだされるが,本来の野生かどうか疑問視されている。…

※「ナツズイセン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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