翻訳|napkin
食事の際に,衣服が汚れないようひざの上に広げたり,汚れた口元や指先をふくために用いる布。麻製を最上とする。食事を手づかみで口にした時代の手ふきが発展したものである。ギリシア時代は,布が貴重品であったため,こね粉のかたまりを用い,手をぬぐって土間に投げ捨てたものを家禽(かきん)や犬が食べたという。ローマ時代にはマッパmappaと呼ばれる布が用いられるようになる。中世にはテーブルクロスが手ふきの役割を兼ねていた。16世紀に入って,フランスの宮廷でナプキンが使われるようになる。一皿ごとに取り換えたが,やがて食事にフォークがとり入れられ,一回の食事にナプキン1枚で済ませるようになった。17世紀には庶民の間にもナプキンがしだいに浸透していった。紙ナプキンを作りはじめたのは日本が最初で,まだ欧米で薄い紙の製造技術が発達していなかった明治時代に,手漉き和紙に木版刷りのナプキンが輸出された。ナプキンはたたんだり,ナプキン・リングに通して食卓に置かれる。着席したらすぐナプキンをとり,二つ折りにして折り目を手前にしてひざにのせる。食事が終わって席を立つときは,ナプキンはたたまずにテーブルの上に置く。
執筆者:山田 和子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
料理を食べるとき、膝(ひざ)にかける目的で使用する布裂(ぬのきれ)あるいは紙などをいう。食べている食物が服に落ちて汚したりするのを防ぐとともに、料理による口の周りや手の汚れをふくためのもの。もともとは、ナイフやフォークが食事に使用されるようになる17世紀ごろより以前、料理を手づかみで食べていた時代に、料理を食べながら手ふきに使われていた布から発展したものである。この手ふきの始まりはローマ時代で、マッパmappaとよばれていた。中世にはテーブルクロスが出現し、この片隅で手をふいていた。しかし、テーブルクロスの生地(きじ)に高価なものが使用されるようになり、17世紀ごろからは、テーブルクロスとは別に、現在のようなナプキンが生じた。
ナプキンは、ディナーなどでは、飾り折りをして、位置皿の上に飾ることが多い。あるいは、ナイフ、フォークなどとともに皿の左側に置かれることもある。1回ごとに洗い、清潔にすることが必要であるので、材質は、何回も洗えるうえ、料理が落ちたとき水分や油などを吸収しやすいものが用いられる。通常は木綿の厚手のものが多い。このほか、パーティーや簡単な食事のときには、紙製のナプキンが用いられる。これも吸湿性のよいものが材料の紙として用いられる。パーティー用の紙ナプキンなどもでき、これらは、きれいなプリントなどが印刷される。
[河野友美]
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…月経時に経血が漏れないよう用いるナプキンnapkinやタンポンtampon,またナプキンを支える下ばき(生理帯)の類をいう。ナプキンは局部にあてて用いるもので,おもにパルプとレーヨンからつくられ,不織布の表面材,経血を吸収する吸収材,水分をはじいて外に漏れないようにする防漏(ぼうろう)材から成る。…
…月経時に経血が漏れないよう用いるナプキンnapkinやタンポンtampon,またナプキンを支える下ばき(生理帯)の類をいう。ナプキンは局部にあてて用いるもので,おもにパルプとレーヨンからつくられ,不織布の表面材,経血を吸収する吸収材,水分をはじいて外に漏れないようにする防漏(ぼうろう)材から成る。…
※「ナプキン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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