生理用品(読み)セイリヨウヒン

デジタル大辞泉 「生理用品」の意味・読み・例文・類語

せいり‐ようひん【生理用品】

生理月経)の際に経血を受け止める当て物。ナプキンタンポンなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「生理用品」の意味・わかりやすい解説

生理用品 (せいりようひん)

月経時に経血が漏れないよう用いるナプキンnapkinやタンポンtampon,またナプキンを支える下ばき(生理帯)の類をいう。ナプキンは局部にあてて用いるもので,おもにパルプレーヨンからつくられ,不織布の表面材,経血を吸収する吸収材,水分をはじいて外に漏れないようにする防漏(ぼうろう)材から成る。タンポンは腟内に挿入して経血を吸いとるもので,脱脂綿とレーヨンの綿状パルプを約4cmほどの筒状にし,細いひもをつけたもの。

 月経時の手当てとしては,古くは草や木の皮をたたいて柔らかくしたものや,海綿のように吸収力のあるものをあてたり,挿入したりしていた。エジプトでは柔らかいパピルスを巻いたタンポン,古代ローマの女性は布きれを使っていた。近代にいたるまでどの国の女性もぼろ布や木綿のおむつを洗っては使っていた。日本でも古代ではコウゾミツマタなどの若葉を陰干しにして繊維状にし,丸めてナプキンとして使っていた。中世にはさらした布や綿,ぬか袋を用い,戦乱のときにはそれらをタンポン式にしていた。江戸時代に紙が実用化すると,布や粗悪な紙が丁字帯(細長い布の一端にひもをつけ,前で結んでもう一方の端をはさんで用いる)とともに使われた。遊廓では紙に赤い絹を巻いたタンポンを用い,それらは赤団子,赤玉などと呼ばれていた。明治の中ごろには脱脂綿が普及し,日清戦争のときには従軍看護婦を中心として使われるようになった。大正時代に入ると,生理帯がプロテクター,安全帯,婦人保護帯などの名で薬屋小間物屋などから売り出された。これらはいずれも丁字形でゴムでできていた。1928年にはフレンドと名付けたゴム引きのズロース型生理帯がつくられた。この型の黒木綿の生理帯は脱脂綿とともに第2次大戦後まで使われていた。現在用いられているような使い捨てのナプキンは,1896年アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソン社の発売した,ガーゼで綿を包んだ〈リスターズ・タオル〉に始まるが,当時の道徳観から一般化はしなかった。

 1921年にキンバリー・クラーク社のつくった〈コーテックス〉は,世界中に広がりナプキンの代名詞となった。33年には使い捨てタンポンが市場にあらわれたが,当初は教会の批判やさまざまの誤解や反対に出会った。日本でも昭和初期にタンポンがつくられていたが,処女性を重んじる風潮から広まらなかった。61年,日本で初めて使い捨てナプキンがアンネ株式会社によってつくられ,この製品は月経時の不安や不快などから女性を解放し,月経に対する従来の認識を変革させることとなった。また〈アンネ〉は生理日を意味する言葉として使われるほどであった。63年にはタンポンも国産化された。現代ではナプキンを固定するためのテープつきやにおい消しの活性炭入り,さまざまの大きさのものがつくられ,タンポンの使用も増えている。生理帯も体にフィットし,〈むれ〉を防ぐ素材を用いたカラフルなものが多く使われている。
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世界大百科事典(旧版)内の生理用品の言及

【月経】より


[月経時の注意・手当]
 外陰部を清潔に保ち,細菌が内部に侵入しないようにすることがたいせつである。また,流出する月経血を受け止める生理用品(タンポンまたはナプキン)を正しく着用し,腟内洗浄は好ましくない。不適な内装用生理用具(タンポン)挿入で,ときにタンポン・ショックを起こすことがある。…

※「生理用品」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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