ニコチン・パッチ(読み)ニコチンパッチ

百科事典マイペディア 「ニコチン・パッチ」の意味・わかりやすい解説

ニコチン・パッチ

禁煙補助剤の一つで,ニコチンを含ませた絆創膏(ばんそうこう)のようなもの。喫煙せずニコチンを皮膚から補給して,ニコチン中毒の禁断症状を和らげ,禁煙治療に有効とされる。パッチ腹部,背中,上腕のいずれかに1枚貼ると,ニコチンが皮膚から吸収され,角質層を透過して毛細血管に入る。そして,脳にあるニコチン受容体に融合すると,ドーパミン放出が促され,タバコを吸っているときと同じように気分が落ち着く。パッチには,ニコチン含有量によって3種類の大きさがあり,最大のもので直径およそ3cm。医師の指導のもと,治療期間に応じて徐々に小さいパッチに替えていく。1日1回交換し,パッチを貼る部位も変える。 同様の効果をもつものに〈ニコチンガム〉がある。これはガム状になった禁煙補助剤で,ニコチンの含まれたガムをかむことにより,喫煙しないでニコチンを補給でき,禁煙の手助けとなるもの。ガム1個中のニコチン含有量はタバコ1本分に相当する。医師の処方箋が必要で,一般の薬局などでは手に入らない。禁煙指導に取り組む医療機関などに導入され,効果を上げている。しかし,15回ほどかんだらガムを歯茎と頬のあいだに1分間はさむ,といった細かい使用法が不可欠なこと,口内炎の原因になりやすいこと,入歯などを使っている歯の悪い人には向かないことなどの問題点もある。これらの点を改善して開発されたのがニコチン・パッチである。 ニコチン・パッチはニコチンガムよりも手軽に扱えるが,反面,皮膚が赤く腫れる,かゆみを伴うなどの副作用が出る場合もある。あくまでも禁煙の手助けとして使用されるもので,禁煙にはやはり,本人の意思と適切な指導が重要。スイス米国の大手医薬品会社が開発し,50ヵ国以上で医薬品として認められている。米国では,処方箋の不要な一般向けの薬として認められ,薬局でも販売されている。日本では厚生省認可が下りていない。
→関連項目抑煙タバコ

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