ヌクレアーゼ(読み)ぬくれあーぜ(その他表記)nuclease

翻訳|nuclease

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌクレアーゼ」の意味・わかりやすい解説

ヌクレアーゼ
ぬくれあーぜ
nuclease

遺伝情報の担い手である生体内物質の核酸nucleic acidを分解する酵素の総称。核酸には大きく分けてRNADNAの2種類があり、これらを分解する酵素はそれぞれリボヌクレアーゼ(RNアーゼRNaseと略記)およびデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼDNaseと略記)とよばれる。また、RNAとDNAの両方を分解する酵素もある。単にヌクレアーゼといえば、この両方に作用する酵素をさす場合が多い。さらに、RNAやDNAの構成単位であるヌクレオチドやヌクレオシドに作用する酵素もヌクレアーゼのなかに入るが、これらはヌクレオチダーゼまたはヌクレオシダーゼとよばれ、特異性のないものが多い。これらヌクレアーゼのなかでとくに有名なのは、膵臓(すいぞう)のDNアーゼとRNアーゼであり、研究用試薬や医薬品として用いられる。DNAおよびRNAの両方を分解するヌクレアーゼとして有名なのは、ミクロコッカスとよばれる球菌のヌクレアーゼである。

 最近、遺伝子工学でよく用いられる制限酵素restriction enzymeもヌクレアーゼの一種で、DNAの塩基配列を認識し、その部位を特異的に切断する。

[岡崎英雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ヌクレアーゼ」の解説

ヌクレアーゼ
ヌクレアーゼ
nuclease

核酸の構成成分であるヌクレオシドと,リン酸の間で形成されているホスホジエステル結合の加水分解反応を触媒する酵素の総称.DNAを基質とするデオキシリボヌクレアーゼ,RNAを基質とするリボヌクレアーゼがおもなものであり,そのほか,DNAおよびRNA両物質を分解するもの,DNA-RNA混成二本鎖のRNAのみを分解するものなどがある.核酸の末端から順次モノヌクレオチドに分解するエキソヌクレアーゼ,および分子鎖の内部を切断し,種々の長さのオリゴヌクレオチドにするエンドヌクレアーゼがある.また,特異的な塩基配列の部分にのみ作用する酵素,紫外線によってDNA分子中に生じたチミンダイマーを特異的に切断する酵素も存在する.動物,植物細胞中に広く分布し,またウイルス感染菌,バクテリアにも存在する.[CAS 9026-81-7][別用語参照]ホスホジエステラーゼ

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「ヌクレアーゼ」の解説

ヌクレアーゼ

 核酸を加水分解する反応を触媒する酵素の総称.RNAの分解を触媒する酵素をリボヌクレアーゼ,DNAの分解を触媒する酵素をデオキシリボヌクレアーゼという.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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