ネット選挙(読み)ネットセンキョ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネット選挙」の意味・わかりやすい解説

ネット選挙
ねっとせんきょ

インターネット上の各種サービスを利用する選挙運動、およびそうした運動の許された選挙。インターネットを介して有権者が投票ができるということではない。選挙公示から投票日までの選挙期間中に、候補者がインターネットを選挙運動に活用することは、公職選挙法142条の「規定された文書図画以外の頒布」にあたるとされ禁じられていたが、2013年(平成25)4月、公職選挙法改正案が成立し、同年7月に行われる参議院選挙から解禁されることとなった。民主党政権下の2010年の参議院選挙前にも、インターネットサービスの利用を一部解禁する法案議論がなされたが実現せず、自民党への政権交代後に進展、法律改正に至った。

 ウェブサイトと電子メール両方の利用が解禁され、これによりホームページやブログの更新、フェイスブックツイッターなどのSNSにおける投稿が可能となり、政党は有料バナー広告を任意のウェブサイトに掲載できるようになった。また、電子メールは政党と候補者のいずれかが、事前に同意した受信者に対してのみ配信することができる。

 この公職選挙法改正により、有権者は候補者の行動や主張、考え方を容易に知り得る場が増え、候補者側も、従来より広い層に対して効率的に選挙活動を行えるというメリットが生まれた。一方、政党や候補者になりすました第三者によるホームページの改竄(かいざん)や電子メールを利用して評判をおとしめる行為が懸念されており、このような違反者には、公民権停止を含む禁固2年以下、罰金30万円以下の罰則が盛り込まれた。また、各党では誹謗(ひぼう)中傷を党の責任において監視するなどの対策が講じられる。

 アメリカやヨーロッパ、韓国では、ネット選挙が日本に先行して解禁されている。2012年に行われたアメリカ大統領選挙で再選を果たしたオバマ大統領陣営は、2008年の前回選挙以降、インターネットを利用するための名簿づくりやデータ活用のための技術者の確保などを進めていたとされる。ネット利用は活動や方針を伝えるばかりでなく、各選挙区における争点政策の分析にも活用された。ツイッターやSNSなどに蓄えられるビッグデータ分析が支持固めに大きな役割を果たすなど、結果的に選挙活動への積極的なインターネット利用が、この時の勝敗を分ける原因の一つになったといわれる。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「ネット選挙」の意味・わかりやすい解説

ネット選挙【ネットせんきょ】

インターネットを議会選挙などに活用すること。日本では,2013年4月,インターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法改正案が国会で全党一致で可決され,同年7月に実施された参議院選挙から適用された。従来の公職選挙法では,選挙期間中に配布できる文書類を一定のビラやはがきに限っており,ホームページなどで選挙運動にかかわる記載は禁じられていた。改正法では,ホームページのみならず,ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを使って案内や投票の呼びかけも可能となる。ただし,電子メールを使った選挙運動は政党と候補者のみに使用が許される。また,選挙運動用のメールを送るには送信先の同意が必要となる。一般の有権者はメールでの選挙運動はできない。国会の審議では,メールの解禁範囲が焦点となったが,将来の解禁に向けて道筋をつけるよう法案の付則が修正された。米国ではほぼ無制限に活用されている。

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