公職選挙法(読み)こうしょくせんきょほう

  • こうしょくせんきょほう ‥センキョハフ
  • こうしょくせんきょほう〔センキヨハフ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

昭和25年法律100号。日本の公職選挙に関する基本法であり,衆参両議院の議員選挙および地方公共団体や議員の選挙に適用される。第2次世界大戦前の衆議院議員選挙法や戦後つくられた参議院議員選挙法を引き継ぎ,地方自治法の選挙に関する規定を統合したものである。内容は多岐にわたり,議員の定数,選挙管理の機関,選挙権および被選挙権の範囲,選挙区選挙人名簿投票,開票,立候補,選挙に関する争訟の手続,選挙運動,違反の処罰など,選挙に関する重要な事項が網羅されている。(→選挙

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知恵蔵の解説

衆議院議員、参議院議員ならびに地方公共団体の議会の議員、首長を公選するための選挙について定めた法律で、略称公選法。衆参両院の定数や選挙方法、選挙権・被選挙権などについて詳細に定めている。
選挙の公示日以降、候補者名の入った選挙運動のための文書図画の配布などは同法により制限される。この観点からすると、IT社会の進展により広がったウェブサイトに掲載される候補者情報はどうするのか、また選挙期間中SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログを候補者が更新することは同法に抵触するのではないかなど、様々な混乱が生じていた。これらに決着をつけるため、公選法の一部改正が2013年4月に成立し、国政選挙ではインターネットを使った選挙運動が同年7月の参院選から導入される。改正後は、選挙運動期間前に公開したホームページなどは表示されたままとすることができ、電子メールや動画サイトなどを利用して候補者が一定の条件下で選挙運動をすることも認められた。また、「当選を得させないための活動」についても基準が示されている。これまでグレーゾーンであった「インターネット選挙運動」の可否が法により明確に定められたことから、これを歓迎する声が強い。
ただし、実際の適用で何らかの弊害が生じる可能性がなくなったわけではなく、インターネット上などで問題になっているモラルハラスメントのような深刻な影響も危惧されている。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

有権者や選挙運動者に、投票や選挙運動の報酬などで金品を与えたり、申し込んだりすることを、買収行為として禁じている。買収した者もされた者も3年以下の懲役禁錮、または50万円以下の罰金。候補者や選挙運動を指揮する総括主宰者が買収した場合は4年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金となる。候補者自身が買収などでが確定すると当選無効になり、選挙権と被選挙権を一定期間失う。

(2017-11-24 朝日新聞 朝刊 1総合)

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百科事典マイペディアの解説

衆議院議員・参議院議員,ならびに地方公共団体の長および議会の議員の選挙について適用するために定められた法律(1950年公布・施行)。各選挙について,選挙権被選挙権選挙区選挙人名簿,選挙手続,選挙争訟選挙運動および罰則などを定める。1994年の改正で連座制が強化された。→選挙違反
→関連項目一般選挙議員定数公民権停止戸別訪問在外投票小選挙区選挙費用選挙妨害立会演説会地方自治法直接選挙投票特別選挙ネット選挙不在者投票普通選挙法法定得票数無効投票リクルート事件

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世界大百科事典 第2版の解説

1950年に,衆議院議員選挙法(1925公布),参議院議員選挙法(1947公布)を一本化し,さらに地方公共団体の長および議員に関する選挙法を統合して制定された法律(〈公選法〉と略称)。公選法の目的は,日本国憲法にのっとり,衆議院議員,参議院議員ならびに地方公共団体の長および議員を公選する選挙制度を確立し,その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行われることを確保し,もって民主政治の健全な発達を期することにある(1条)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の首長、地方議会議員の四つの公職について定数や選挙方法などを定めた法律(昭和25年法律第100号)。衆議院議員選挙法や地方自治法などでばらばらであった選挙法制を、憲法の理念に基づき、1950年(昭和25)に統一した基本法である。所管官庁は総務省。公職就任者を公明・適正に選び、民主政治の健全な発達を期す目的がある。中央選挙管理会、選挙権、被選挙権、議員定数、選挙区、選挙人名簿、選挙手続(公示・告示、期日、投・開票など)、政党や政治団体の要件、選挙争訟、選挙運動、罰則などについて規定。長く20歳以上の日本国民(地方公共団体の長・議員選挙では3か月以上の居住が必要)としてきた選挙権を2016年(平成28)6月から18歳以上に引き下げ、諸外国と足並みをそろえた。被選挙権については参議院議員と都道府県知事は30歳以上、その他は25歳以上の日本国民と規定。(1)禁錮(きんこ)以上の刑に処せられ執行中の者、(2)収賄罪などで刑に処せられて5年未満の者、(3)選挙犯罪で禁錮以上の刑に処せられ執行猶予中の者、は選挙権、被選挙権ともに保有できない。1982年(昭和57)から参議院議員選挙に拘束名簿式比例代表制を導入し、1994年(平成6)から衆議院議員選挙を小選挙区比例代表並立制に改め、政党選挙化が進んだ。

 公職選挙法は時代にあわせて改正を繰り返してきた。選挙の公平性や平等性を保つため一貫して戸別訪問や飲食物の提供などを禁止・制限する一方、死亡や転居しない限りいったん登録すると効力をもち続ける永久選挙人名簿制度を確立(1966年)し、たびたび連座制を強化(1952、1962、1975、1981、1994年など)した。投票機会を広く提供し低迷する投票率を改善するため不在者投票(1975年)、在外投票(2000年)、期日前投票(2003年)制度の整備・拡充、投票時間の延長(1998年)などの措置がとられ、公約を明確に示すマニフェスト配布も解禁(2003年)された。交通の便の向上で選挙運動期間が短縮(1983年)され、テレビ政権放送の実施(1969年)や記号式投票の規制整備(1970年)が進んだ。過疎地の議員や首長のなり手不足に対応し、都道府県議会議員・市議会議員(1992年)や町村長・町村議会議員(2020年)の街宣車や選挙運動用ビラ・ポスターの費用を公費負担する選挙の公営化も進んだ。ただ人口変動にもかかわらず、衆参両院議員の選挙区・定数が手つかずのまま放置され、1票の価値に著しい不均衡を生じ、最高裁判所は1976年以降「違憲」「違憲状態」との判決を何度も出している。国会はその都度、公職選挙法を改正し選挙区の定数を調整しているが、抜本的是正にはほど遠く、後手に回っている。インターネットを利用した選挙運動は2013年に解禁されたが、ネット選挙の解禁論議は10年以上の時間を費やし、日本の選挙制度は急速な情報技術の進展から大きく後れをとっているのが実態である。

[矢野 武 2020年11月13日]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 公職の選挙に関する法律。国会・地方公共団体の議会の議員および長の選挙について、選挙権、被選挙権、選挙区、選挙人名簿、選挙手続、選挙争訟、選挙運動および選挙違反行為に対する罰則などを規定する。昭和二五年(一九五〇)制定。

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世界大百科事典内の公職選挙法の言及

【選挙運動】より

…近年では候補者や政党のシンボル・マークを作成したり,候補者が街頭で握手戦術を行うなどカラフルで新しい選挙戦のスタイルが定着している。
[公職選挙法における選挙運動の規制]
 公職選挙法では選挙運動と政治活動は区別されている。選挙運動とは特定の選挙につき特定の候補者を当選させるために投票を得,または得させるために必要かつ有利な行為であると解釈されている。…

【選挙犯罪】より

…選挙の自由・公正を害するかまたは害するおそれがあるものとして公職選挙法によって刑罰の対象とされている行為。このような行為を行うことを選挙違反ともいう。…

※「公職選挙法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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