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ノサック Nossack, Hans Erich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ノサック
Nossack, Hans Erich

[生]1901.1.30. ハンブルク
[没]1977.11.2. ハンブルク
西ドイツの小説家。富裕な貿易商の家に生れる。イェナ大学を中退,共産党に入党したが,ナチス政権時代には身を守るために父の商社で働いていた。 1943年ハンブルク大空襲のために書きためた草稿を焼失し,一切の過去を失ったと自覚,その体験は,47年の『死者への手向け』 Nekyia. Bericht eines Überlebenden,48年の短編集『死とのインタビュー』 Interview mit dem Todeに投影している。 61年ビュヒナー賞受賞。作品には破滅に瀕した世界における生の意味の懸命な模索がみられる。『遅くとも 11月には』 Spätestens im November (1955) ,『弟』 Der jüngere Bruder (58) ,『最後の反乱のあとで』 Nach dem letzten Aufstand (61) ,『ダルテス事件』 Der Fall d'Arthez (68) ,『幻の勝利者に』 Dem unbekannten Sieger (69) ,『盗まれたメロディー』 Die gestohlene Melodie (72) などのほか,短編,戯曲,評論がある。

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百科事典マイペディアの解説

ノサック

ドイツの作家。ハンブルクの貿易商の子で,各種の職業を経験。早くから書きためた原稿を1943年の大空襲で焼失。短編集《死神とのインタビュー》(1948年)がサルトルに注目された。

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世界大百科事典 第2版の解説

ノサック【Hans Erich Nossack】

1901‐77
ドイツの作家。ハンブルクの富裕な貿易商の家の生れ。青年時代に左翼思想への共鳴と反ファシズムの立場から2度にわたり共産党に入党。このためナチス時代には数次の家宅捜索を受けた。第2次大戦中は商人としての生活に逃げ込んで暮らす。1943年7月連合国軍のハンブルク大空襲で蔵書や書きためた原稿のすべてを焼失。このときの〈いっさいの過去を失った体験〉をのちに書き綴った記録が《没落》(1961)である。短編集《死神とのインタビュー》(1948)がサルトルの雑誌に取り上げられ,フランスで評価を受けた。

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大辞林 第三版の解説

ノサック【Hans Erich Nossack】

1901~1977) ドイツの作家。独白調の文体で、シュールレアリスム風の世界を描き、閉塞した現実からの脱出を目指す。短編「死神とのインタビュー」、短編集「螺旋」、「幸福な人間」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ノサック
のさっく
Hans Erich Nossack
(1901―1977)

ドイツの小説家。ハンブルクの貿易商の家に生まれ、大学で哲学と法律を学ぶ。工場労働者や商店員などを転々としたのち、父の商社を継ぐ。早くから戯曲や詩を手がけたが、発表の機会なく、1943年のハンブルク大空襲で原稿をすべて焼失。廃墟(はいきょ)での体験をつづった『死者へのたむけ』(1947)、『死とのインタビュー』(1948。のち『ドロテーア』と改題)がサルトルに注目され、まずフランスで、のちドイツでも認められ、文壇に登場。56年以降、亡くなる直前まで文筆に専念。
 代表作は長編『遅くとも11月に』(1955)、『弟』(1958)、短編集『螺旋(らせん)』(1956)などで、繁栄を続ける旧西ドイツ社会の不毛な精神状況に絶望した孤独な個人の、新しい可能性を求めて未知の世界へ脱出する試みが、シュルレアリスム風の幻想を交えてつづられる。晩年の長編『幻の勝利者に』(1969)、『盗まれたメロディー』(1972)では、「向こう側」の世界で挫折(ざせつ)して帰り、敗残者として生きる「再亡命者」の消息に、人間存在の可能性を追求している。ほとんどの作品が「報告」「記録」の形式をとり、劇的な筋立てはない。たとえば『わかってるわ』(1964)のように全編瀕死(ひんし)の娼婦(しょうふ)のモノローグで終始するなど、単調かつ素朴な構成が共通している。ほかに『最後の反乱の後に』(1961)、『ダルテス事件』(1968)、『待機』(1973)、『幸福な人』(1975)など。[山本 尤]
『川村二郎他訳『影の法廷――ドロテーア』(1979・白水社) ▽中野孝次訳『弟』(『世界文学全集21 20世紀の文学』所収・1965・集英社) ▽中野孝次訳『盗まれたメロディー』(1974・白水社)』

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