ノースウェスト航空(読み)ノースウェストこうくう(英語表記)Northwest Airlines, Inc.; NWA

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノースウェスト航空」の意味・わかりやすい解説

ノースウェスト航空
ノースウェストこうくう
Northwest Airlines, Inc.; NWA

2008年デルタ航空に吸収されたアメリカ合衆国の航空会社。極東,東南アジア線を中心に事業を行なっていた。1926年郵便輸送のために設立され,当初はアメリカ国内北西部で郵便・旅客輸送をしながらしだいに路線網を広げ,第2次大戦中は軍事輸送によって事業を拡大した。戦後は航空関連の活動が禁止された日本にも 1947年から乗り入れるようになり,1951年10月からは航空解禁までの日本航空運航受託,マーチン202Aもく星号を使って,東京―大阪―福岡線に就航した。しかし翌 1952年4月9日,東京から大阪へ向かって離陸した同機が伊豆大島三原山衝突,乗員乗客 37人が全員死亡するという事故を起こし,航空再開直前の惨事となった(→もく星号事故)。その後 1950年代後半から世界の航空界はジェット時代に入り,ダグラスDC-8,ボーイング707ボーイング747,ダグラスDC-10など最先端のジェット旅客機を導入,アメリカ国内線はもとより太平洋線や大西洋線を拡充し,路線網を広げていった。その結果 1997年には同社史上最高の利益を上げたが,21世紀に入ると競争激化,燃料費の高騰景気低迷などで収益悪化。2005年連邦破産法による保護を申請し,その庇護のもとで経営を維持しつつデルタ航空との合併交渉に入り,2008年に合併。2010年1月両社の経営統合が完了し,ノースウェスト航空の名前は消滅した。

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