1961年製作のアメリカ映画。モノクロ作品。デマゴーグを描いてアメリカ民主主義の矛盾を批判した《オール・ザ・キングスメン》(1949)でアカデミー作品賞を受賞したロバート・ロッセンRobert Rossen(1908-66)の製作・脚本・監督作品。原作はウォルター・テビスWalter Tevisの同名の小説。ロッセンは下院非米活動委員会によるハリウッドの〈赤狩り〉に反対した19人(〈ハリウッド・ナインティーン〉と呼ばれた)の1人であったが,1953年の聴聞会で〈友好的〉証言をして〈裏切り者〉〈密告者〉の烙印(らくいん)を押され,その後の作品は精彩を欠いた。しかし,60年代に入って突如輝き出し,最後の作品になった《リリス》(1963)に至る若々しくかつ成熟した鮮烈な〈晩年〉を飾る異色の傑作が《ハスラー》で,非情な勝負の世界に生きるギャンブラーを冷酷なタッチで描き,全編2時間15分のうち約2/3が撞球シーンで終始する。その手法は戦後アメリカの〈社会的リアリズム〉として評価された。〈シュフタン・プロセス〉という鏡を使ったトリック撮影方式の発案者として知られるドイツ人のカメラマン,オイゲン・シュフタンEugene Schufftan(1893-1977)がこの作品でアカデミー白黒撮影賞を受賞。また主要各部門と並んで助演男優賞にノミネートされたジョージ・C.スコットGeorge C.Scottが,アカデミー賞のありかたを批判して話題になったが,その後スコットは70年の《パットン大戦車軍団》の主演男優賞の受賞も拒否している。
執筆者:柏倉 昌美
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ドイツの作曲家。ニュルンベルク生まれ。イタリアで修業した16、17世紀ドイツの最初の巨匠。ベネチアでアンドレア・ガブリエリに師事した。1586年からフッガー家のオルガン奏者としてアウクスブルクで活躍、95年には貴族となった。1601~08年のニュルンベルク時代を経て、08年ドレスデン宮廷に入り、12年フランクフルトで世を去っている。ミサ曲やモテットのほか、イタリア世俗曲の影響を受けた世俗歌曲、器楽曲が重要。『わが心思い乱れ』は、受難コラール『血潮したたる主のみかしら』に転用され、広く親しまれている。
[樋口隆一]
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