ハム(英語表記)ham

翻訳|ham

精選版 日本国語大辞典 「ハム」の意味・読み・例文・類語

ハム

〘名〙 (hum) ラジオなどの受信機で、電源に交流を使用した場合に出るブーンという雑音。
※初稿・エロ事師たち(1963)〈野坂昭如〉一「なんせアパートの天井裏は電線だらけや。ハムが入るのはしゃァないな」

ハム

〘名〙 (ham) 豚肉を塩漬にした後、燻製(くんせい)にした加工食品。本来は腿肉(ももにく)を用いるが、現在は他の部分も用いる。〔蛮語箋(1798)〕

ハム

〘名〙 (ham) アマチュア無線通信家。

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デジタル大辞泉 「ハム」の意味・読み・例文・類語

ハム(ham)

豚肉を塩水に漬けてから燻製くんせいにした加工食品。もも肉の骨付きが本来であるが、ボンレスハムロースハム生ハムや、他の畜肉・魚肉などを使ったプレスハムもある。
太ももの後ろ。→ハムストリング
メタ構文変数で用いられる、意味をもたない文字列の一。

ハム(Hamm)

ドイツ西部、ノルトライン‐ウェストファーレン州の都市。ドルトムントの北東約30キロメートル、リッペ川および並行する運河沿いに位置し、河港をもつ。ルール地方北端の工業都市であり、鉄鋼業、化学工業が盛ん。

ハム(hum)

ラジオ・テレビなどの受信機で、電源に交流を用いた場合に出る、ブーンという雑音。ハム音ハムノイズ

ハム(ham)

アマチュア無線家

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改訂新版 世界大百科事典 「ハム」の意味・わかりやすい解説

ハム
ham

豚肉から製造した肉製品の一つで,本来はブタのもも肉の意。骨付きのまま,あるいは骨をとったものに,塩漬(えんし)剤(塩,硝酸塩亜硝酸塩,砂糖,リン酸塩,アスコルビン酸塩など)を粉のまま肉にまぶすか水に溶かしてピクルを作り,この中へ肉塊を浸漬(しんし),またはピクルを肉塊の中へ注入し,さらに加熱(加熱はほとんどか,あるいはまったくしないこともある)し燻煙(くんえん)して製造する。加熱は中心温度63℃,30分を基準とした低温殺菌で,缶詰の殺菌のようにほとんど無菌に近いものでなく菌の芽胞は生き残っているから,製造後の貯蔵流通にあたっては,芽胞が発芽しないように10℃以下の低温を保っておく必要がある。

骨なしのハムをボンレスハムという。日本ではもも肉のみでなく,ロース部,肩部などからハムと同様の製法によって作ったものもロースハム,ショルダーハムと称している。さらに小さい肉塊のいくつかを,〈つなぎ肉〉という結着性のよい肉のひき肉で結着させ,あたかも一つの肉塊から作ったように見せかけた肉製品をプレスハムという。ロースハム,プレスハムは日本で発展した独特のものである。生肉は加熱すれば灰色に変色するが,ハム類は加熱してもその美しいピンク色は変化しない。これは肉色素ミオグロビンと塩漬剤中の硝酸塩や亜硝酸塩とが反応してニトロソミオグロビンが形成されたためである。

明治以後の日本のハムの製造は,長崎大浦の片岡伊右衛門が1872年,長崎に来遊したアメリカ人よりハムの製法を伝授され,同年11月,工場を建設して製造を開始したのが最初である。長崎につづいては,北海道開拓使庁がその事業の一環として73年,東京農事試験場において,また76年,札幌養豚場において火腿(ハム)を試作している。1874年には,神奈川県鎌倉郡川上村(現,横浜市戸塚区)においてイギリス人カーティスWilliam Curtisが加工に着手し,これが日本人に伝わり,その一人である斉藤満平が87年,創業の許可を得て正式にハム製造を開始した。これがいわゆる鎌倉ハムの起源となり,ハム製造の発祥として知られている。第1次世界大戦後には,数名のドイツ人捕虜の加工技術者により,ドイツ式の加工技術が日本に伝わった。日本におけるハム類の生産量は,昭和30年代の後半から,肉類の消費の増加とともに著しく増加し,1995年には約17万tに達した。なお魚肉ハムというのは,魚の小肉塊をプレスハムと同様の製法で製造したもので,畜肉ハムよりももっと高温で加熱し,常温で流通しうる製品を作ることができる。
執筆者:

ハムは薄切りにして他の材料と組み合わせるのがふつうの食べ方で,サンドイッチやサラダに多用する。オードブルではゼリーがけにしたり,円錐形に巻いて詰物をしてコルネーにする。小さく切ってハムライスオムレツに用い,厚めに切って焼いてハムステーキにする。中国料理では,拌三糸(線切り3種の和え物),火腿冬瓜夾(トウガンのハムはさみ蒸し),奶油三色菜(野菜3種の牛乳あんかけ)など,その味や色彩を利用したものが多い。生ハムは柔らかくとろりとした口当りが好まれ,ごく薄く切ったものを,メロン,パパイア,マンゴー,キーウィフルーツのような,甘く柔らかい果実に添えてオードブルとする。
執筆者:

ハム
Hamm

ドイツ西部,ノルトライン・ウェストファーレン州ルール地帯北東端の都市。人口18万1808(1999)。13世紀に都市法を授与され,19世紀初頭に至るまでマルク伯領の首都。リッペLippe河畔に位置し交通の要衝で,15世紀後半にはハンザ同盟に加わる。19世紀中葉の鉄道開通が新しい都市成長の起点となった。現在もヨーロッパ最大級の鉄道操車場を持つ。ダッテルン・ハム運河(1914-15)でライン川と結ばれる。鉄加工,線材圧延,機械製造,製材,繊維,醸造などの工業が行われる。
執筆者:

ハム
ham

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハム」の意味・わかりやすい解説

ハム
ham

アマチュア無線家の通称。音声やモールス符号による私設の短波無線局を開設することのできる有資格者。語源は,大根役者という意味の hamからきたとも,アマチュア amateurの amが転訛したものともいわれる。アマチュア無線は 20世紀初頭にアメリカ合衆国で試みられたものが,世界各国に急速に普及した。日本でも 1925年頃から実験が始まり,日本アマチュア無線連盟 JARLが結成され,1927年からは正式に開局が認められた。第2次世界大戦中は一時禁止されたが,大戦後,アマチュア無線家は急激に増加した。国際アマチュア無線連盟 JARUのハムと交信,非常災害時の通信などにも貢献している。アマチュア無線は電波法とその関連法規に規制され,金銭的利益にかかわる通信は禁じられている。無線局の開設には年齢,性別,職業にかかわりなく,国家試験や養成課程などによりアマチュア無線技士の資格を取得した者に総務大臣の免許が交付される。アマチュア無線技士の資格は第1級から第4級までの 4種類に分かれ,それぞれ行なうことができる無線設備の操作の範囲が定められている。(→短波通信

ハム
ham

代表的な肉製品の一つ。豚肉を塩漬し,香辛料を加え,薫煙し,独特の風味と防腐性を与えた加工食品のこと。元来,ハムとは豚のもも肉をさすが,その後その加工品もハムというようになり,現在日本では豚のもも肉以外の肉を使用した製品もハムと呼んでいる。種類は多いが代表的なものには,豚のもも肉を骨のついた大きな肉塊のまま加工した骨付きハム,豚のもも肉から骨を取除いたボンレスハム,もも肉やロース肉の肉片からつくったラックスハム,背のロース肉からつくったロースハムなどがある。またボンレスハムの場合,薫煙せずに湯煮しただけで仕上げたものはボイルドハムという。

ハム
Hamm

ドイツ西部,ノルトラインウェストファーレン州の都市。ドルトムントの北東約 30km,リッペ川とアーゼ川にのぞむ。 13~17世紀には,ハンザ同盟都市として繁栄。現在はルール工業地帯の東端に位置し,鋳鉄,電線・針金製造,繊維,機械製造などの工業が稼働。近くに炭鉱と温泉がある。鉄道の要地で,ドイツ最大の貨物駅があり,またダッテルン=ハム運河により広大な水路網と結ばれる。人口 18万1741(2010)。

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百科事典マイペディア 「ハム」の意味・わかりやすい解説

ハム

豚肉を塩漬,燻(くん)煙した加工食品。本来は豚の腿(もも)肉をさす。整形した原料肉に食塩や硝石をすり込み,血絞りを行い,のち食塩,硝石,香辛料,砂糖などを加えた塩漬液に漬ける。塩漬完了後,水洗・乾燥した肉を燻煙し,防腐性を与えるとともに特有の風味をつける。その後,殺菌のため湯煮してのち包装する。腿肉から作った一般的なボンレスハムのほか,腿肉を骨付のまま加工した骨付ハム,ロース肉を用いたロースハム,肩肉を用いたショルダーハム,豚,牛などの大切り屑(くず)肉を密着させてつくったプレスハムなどがある。なお,生ハムとは子豚の腿肉に塩をすりこみ,1ヵ月ほど寒風にさらしたもので,柔らかくとろりとした口当りが好まれる。

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栄養・生化学辞典 「ハム」の解説

ハム

 (1) ブタのももの部位.(2) もともとブタの腿肉を骨つきで塩漬けし,燻煙したものであるが,近年わが国では塩漬け肉をケーシングに詰め,煮たものをいうことが多い.

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世界大百科事典(旧版)内のハムの言及

【アマチュア無線】より

…ハムhamともいわれる趣味の一つであるが,国際電気通信条約付属無線通信規則や電波法施行規則によれば,〈金銭上の利益のためでなく,もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練,通信および技術的研究の業務〉のための無線通信である。世界共通の周波数帯を使って国内国外のアマチュア局と交信し,通信技術の研究を行うほか国際親善につとめている。…

【符号化】より

…このとき,Cは〈t個誤り訂正符号〉と呼ばれる。たとえば,先の例のハミング符号は,最小距離3であるので,1個誤り訂正符号である。誤り発生確率は,誤りの個数とともにほぼ指数的に減少するので,小さい個数の誤り訂正がより重要であり,大きい個数の誤りは多くの場合無視してよい。…

※「ハム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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