ハースト(William Randolph Hearst)(読み)はーすと(英語表記)William Randolph Hearst

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハースト(William Randolph Hearst)
はーすと
William Randolph Hearst
(1863―1951)

アメリカの新聞経営者。サンフランシスコに生まれる。ハーバード大学に学んだが、1887年鉱山王であった父から『サンフランシスコ・エクザミナー』紙の経営を任されたときから新聞界に出ることとなった。1895年にはニューヨークで『ジャーナル』紙を買収ピュリッツァーの『ワールド』紙を相手に激しい競争を展開、色刷り漫画やセンセーショナルな記事と大見出しで、のちにイエロー・ジャーナリズムとよばれる時代をつくりだした。1897年には両紙の扇動的な記事でスペインとの戦争の原因をつくったと評された。政界進出をも企て、下院議員になっただけに終わったが、全米各地で新聞・通信・出版社を経営することによって「ハースト帝国」といわれる大資産をつくった。第一次世界大戦では参戦に反対、戦後は国際連盟にも反対したが、1927年以来、英語圏諸国の政治協力を唱えるようになった。その新聞チェーンはいまだに勢力が強い。

[伊藤慎一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例