改訂新版 世界大百科事典 「バミューダ諸島」の意味・わかりやすい解説
バミューダ[諸島]
Bermuda Islands
北大西洋西部にあるイギリス領の諸島。別称サマーズ諸島Somers Islands。アメリカ合衆国ノース・カロライナ州のハタラス岬の南東約920km,北緯32°18′,西経64°46′に位置し,主島バミューダ島を中心に東側のセント・ジョージ島,セント・デービッド島,西側のサマセット島,アイルランド島などが橋や堤防で結ばれる。全体で約300の島から構成され,総面積53.3km2であるが,住民のいるのは約20の島にすぎず,人口6万2059(2000)。その過半数はイギリスの奴隷貿易によって移住させられた黒人の子孫である。世界の最北限のサンゴ礁と温暖な気候からリゾート地として知られ,アメリカ人観光客が多い。このほか船舶修理や野菜,花卉の栽培も行われる。1515年にスペイン人オビエドが近くへ航海したが,発見を同国人ベルムデスJuan de Bermúdezの航海(1503)に帰したため,現地名となった。その後バージニアへ植民に行く予定のイギリス人サマーズGeorge Somersの一行が1609年に漂着して開拓が始まり,84年イギリス王室領となった。大西洋航路の中継地,イギリス海軍の基地として利用されたが,現在はアメリカの空軍・海軍基地が設置されている。中心都市のハミルトンHamiltonではしばしば米英首脳会談が開かれた。
なお,バミューダとフロリダ,プエルト・リコの3点を結んだ三角地帯を〈バミューダ・トライアングル〉と呼ぶ。この海域では,1918年アメリカの軍艦サイクロプス号が忽然(こつぜん)と消息を絶ったのをはじめ,45年にはアメリカの爆撃機5機の編隊が手がかりもなく消えるなど,1854年以来,50以上の艦船,飛行機がなぞの失踪を遂げたため,〈魔の三角地帯Devil's Triangle〉として恐れられた。予期せぬ気象状態の急変が原因ともいわれているが,真相は明らかでない。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報