改訂新版 世界大百科事典 「バルベードールビイ」の意味・わかりやすい解説
バルベー・ドールビイ
Jules Barbey d'Aurevilly
生没年:1808-89
フランスの小説家,批評家。貴族の血を引く君主制主義者。ブルジョア社会と実証主義を軽蔑した挑発的なダンディ,戦闘的なカトリック教徒であり,遅れてやって来たロマン主義者といわれる。バイロン,ジョゼフ・ド・メーストルの影響を受け,罪深い恋,人間性の地獄,悪魔主義が支配する悲劇的でときに超自然的な世界を,小説《魅入られた女》(1854),《妻帯司祭》(1865),《悪魔のような女たち》(1874)などにおいて,独特な文体で描いた。また〈ふくろう党〉の闘いに題材を得た作品《騎士デ・トゥーシュ》(1864)がある。批評家としては,写実主義を攻撃し,感傷を嫌い,人間的真実,生命,情熱を擁護。往々にして独断的であったが,勘所も押さえて,バルザックを賞揚し,スタンダールを認め,ボードレールをいちはやく評価した。長年にわたって新聞・雑誌に発表した批評は,おもに《作品と人》26巻(1860-1909)にまとめられている。
執筆者:金澤 哲夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報