バルメン宣言(読み)バルメンせんげん

改訂新版 世界大百科事典 「バルメン宣言」の意味・わかりやすい解説

バルメン宣言 (バルメンせんげん)

正式には〈ドイツ福音主義教会現状に対する神学宣言〉。ヒトラー政権の教会への干渉に抗して起こった〈告白教会〉が,1934年5月にドイツ西部のバルメンBarmenで第1回告白教会全国会議を開き,そこで採択された。草案はK.バルトを含む3人の起草委員によって書かれたが,6項目より成り,国粋主義的な〈ドイツ・キリスト者〉の神学的逸脱をしりぞけつつ,宗教改革の神学に根ざして,教会と国家の関係その他の聖書的諸真理を展開している。この宣言に対しては,発表当時からさまざまな批判はあるが,戦後の〈ドイツ福音主義教会〉は,その基本法において,そこに述べられた事柄の普遍的真理性を承認している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルメン宣言」の意味・わかりやすい解説

バルメン宣言
バルメンせんげん
Barmen theologische Erklärung

1934年5月 29~30日,ルールのバルメンにおけるドイツ福音主義教会の第1回信仰告白教会会議で採用された宣言。正式には「ドイツ福音主義教会の現状に対する神学的宣言」。 33年以後のナチ政権下の教会の全体主義化に追従したドイツ・キリスト者に対し抵抗表明,宗教改革の諸信条に基づいて告白したもの。 K.バルトの草案により,6ヵ条から成る。自然神学による神認識を否定し,キリストの王権,教会の秩序の独自性,政治的支配からの教会の独立を主張,教会と国家の使命について述べ,専制政治に反対した内容である。その後,この宣言に基づいて,ヒトラーに抵抗する告白教会の全国組織がつくられた。

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百科事典マイペディア 「バルメン宣言」の意味・わかりやすい解説

バルメン宣言【バルメンせんげん】

告白教会がドイツ西部のバルメンBarmenにおける第1回告白教会全国会議(1934年5月)で採択した〈ドイツ福音主義教会の現状に対する神学的宣言〉のこと。ナチスの下でキリスト教のドイツ民族化を唱える〈ドイツ・キリスト者〉の誤りを批判し,聖書の真理を告白した。宣言はバルトらによって起草され,6項目からなって,教会と国家の関係その他について述べる。〈ドイツ教会闘争〉の記念碑ともいうべき宣言。

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世界大百科事典(旧版)内のバルメン宣言の言及

【エレア学派】より

…前6世紀の後半,南イタリアのエレアElea市に興った哲学の一派。パルメニデスを祖とし,ゼノン,メリッソスと続いた。感覚される事実を虚妄とし,思惟される事実こそ真実と宣言したパルメニデスは,日常経験からは疑いえぬ明白な事実である生成,変化,運動,多を全面的に否定し,弟子たちもこの説を側面から擁護した。…

【ギリシア科学】より

…このミレトスの生成の自然学は,〈火〉をアルケーとして〈万物流転〉を説いたエフェソスのヘラクレイトスにより一般化され,すべてのものは〈上り道〉(地→水→空気→火)と〈下り道〉(上と反対の変化)の過程にあるとされた。 しかしこのようなイオニアの生成変化の考え方は,イタリアのエレア出身の思索家パルメニデスの〈存在〉の論理の批判の前に一つの危機に逢着する。パルメニデスによれば,真理の世界は〈有るものは有り,有らぬものは有らぬ〉という基礎原理によって貫かれるもので,このような自同的原理に矛盾しない不変不動の一者たる〈存在(ト・エオン)〉のみが真の認識の対象となる。…

【ゼノン】より

…ローマ帝国皇帝,ビザンティン帝国皇帝。在位474‐475,476‐491年。426年生れともいわれる。前名タラシコディッサTarasikodissa。イサウリア族族長でレオ1世の要請でアスパルに代表されるゲルマン勢力に対抗するために宮廷に招かれる。皇女アリアドネと結婚しゼノンを名のる(466)。レオ1世の没後(474),7歳の息子がレオ2世として登位するが,彼が同年没したため正帝となる。475年先帝の義弟バシリスクスに帝位を奪われるが,翌年復帰し,同年西の正帝ロムルス・アウグストゥルスが没したあと,ローマ帝国唯一の皇帝となる。…

【同一性】より


[存在論と弁証法]
 アリストテレスが,矛盾律の定義にあたって,時間的条件とまた空間を含めた広い意味での場所(トポス)の条件を付け加えたことは,反面からいえば,いわば変化と差異ないし差別相によってみたされたわれわれの住む世界においては,こうした条件をぬきにした端的な同一性や同一律は成り立たないことを考慮してのことにほかならなかったとも考えられる。事実すでにソクラテス以前の古代ギリシア哲学者たちにおいて,パルメニデスは,〈あるものはあり,ないものはない〉という同一性の論理の立場を徹底して貫き,弟子のゼノンはこれを受けて,現実世界の生成変化や多様性の一切を論理的にありえぬものとみなす有名な一連の〈ゼノンのパラドックス〉を提示し,一方,ヘラクレイトスは,一切を流れてやまぬものとみなす見解を示していた。彼らにあって,同一性や生成変化ないし差異をどう考えるかということは,たんなる思考の規則や,あるいはわれわれの住む世界内の個々の事象についての探究である以前に,なによりもこの宇宙の根源そのものにかかわる存在論的問題の次元が考えられていたのである。…

※「バルメン宣言」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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