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パゾリーニ Pasolini, Pier Paolo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

パゾリーニ
Pasolini, Pier Paolo

[生]1922.3.5. ボローニャ
[没]1975.11.2. ローマ郊外
イタリアの詩人,小説家,映画作家。反ファシズム闘争の時代に母方の郷里カザルサに疎開して,フリウリ地方の農民運動に参加した。ボローニャ大学を卒業後,1950年代後半には『オッフィチーナ』誌同人となり,グラムシ主義を掲げ,政治と文化の亀裂の超克を目指した。一方,早くから映画のシナリオを手がけ,実生活を支える文学としての方言詩,言語と芸術の関係などに強い関心を寄せて,前衛的な芸術論を発表した。 60年代後半からは,モラビアと第2次『ヌオービ・アルゴメンティ』誌を主宰し,言語実験主義者たちの行過ぎを批判して,サングィネーティ,バレストリーニら,新前衛派と鋭く対立した。主著は,詩作品に『最良の青春』 La meglio gioventù (1954) ,『グラムシの遺骨』 Le ceneri di Gramsci (57) ,『薔薇の形の詩』 Poesia in forma di rosa (64) ,『新しい青春』 La nuova gioventù (75) など。小説に『生命の著者たち』 Ragazzi di vita (55) ,『激しい生』 Una vita violenta (59) ,『あることの夢』 Il sogno di una cosa (62) ,『テオレマ』 Teorema (68) など。評論集に『情念と理念』 Passione e ideologia (60) ,『異端的経験論』 Empirismo eretico (72) ,『海賊評論集』 Scritti corsari (75) など。ほかに,小説とシナリオとの中間作品『野性の父』 Il padre selvaggio (75) がある。映画監督としても第1作の『乞食』 Accattone (61) 以来,ヨーロッパ文明の本質に迫る主題と大胆な映像美を追求した作品を発表。代表作『奇跡の丘』 Il vangelo secondo Matteo (64) ,『アポロンの地獄』 Edipo Re (67) 。 17歳の少年に路上で撲殺された。

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百科事典マイペディアの解説

パゾリーニ

イタリアの詩人,作家,映画監督。《カザルサ詩集》(1942年),小説《不良たち》(1955年)などを著し,貧しい民衆に共感を示した。《もの乞い》(1961年)から自己の脚本・監督による映画の制作にも乗りだし,《マタイ福音書》(1964年。
→関連項目カラスベルトルッチ

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世界大百科事典 第2版の解説

パゾリーニ【Pier Paolo Pasolini】

1922‐75
イタリアの詩人,作家,映画監督。ボローニャで生まれ,北イタリア各地で幼時を過ごした。はじめフリウリ方言で詩を書き,《カザルサ詩集》(1942)ほかを発表。1945年ローマに移る。小説《生命ある若者》(1955)はローマ方言隠語により下層社会の生態を描く。小説《激しい生》(1959),詩集《グラムシの遺骨》(1957),《現代の信仰》(1961)では,貧しい民衆の純粋な生命力への共感(悲惨―救済)の観念が示される。

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大辞林 第三版の解説

パゾリーニ【Pier Paolo Pasolini】

1922~1975) イタリアの詩人・小説家・批評家・映画監督。戦後を代表する戦闘的マルクス主義知識人として、矛盾に満ちた異端的生涯を送る。マタイ伝を映画化した「奇跡の丘」で世界的に注目された。代表作に、詩集「グラムシの遺骨」、小説「生命ある若者」、映画「アッカットーネ」、評論「異端的経験論」がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

パゾリーニ
ぱぞりーに
Pier Paolo Pasolini
(1922―1975)

イタリアの詩人、小説家、映画監督。生地のボローニャ大学卒業後、ローマに移る。詩集『グラムシの遺骨』(1957)など左翼的な詩人として、また『生命ある若者』(1955)、『激しい生』(1959)などの小説家として名をなした。具体的なイメージを積み重ねる詩的手法は映画界からも注目され、フェリーニ監督の『カビリアの夜』をはじめとする脚本を数多く担当したのち、『アッカトーネ(乞食)』(1961)で監督としてもデビューした。しだいにネオレアリズモやドキュメンタリーの影響を脱し、『奇跡の丘』(1964)、『アポロンの地獄』(1967)、『王女メディア』(1969)など、古典に現代的息吹を吹き込んだ独自の世界をつくりあげた。『テオレマ』(1968)など寓話(ぐうわ)的作品を経て、『カンタベリー物語』(1972)などしだいにエロティシズムをうたいあげる方向へ関心を傾斜させていたが、『ソドムの市』(1975)を完成した直後、19歳の少年に撲殺された。彼の映画は理論的関心に裏づけられており、論文として『ポエジーとしての映画』(1966)、論集に『異教的経験論』(1972)がある。[出口丈人]

資料 監督作品一覧

アッカトーネ(乞食) Accattone(1961)
マンマ・ローマ Mamma Roma(1962)
ロゴパグ~「意思薄弱な男」 Ro.Go.Pa.G. - La ricotta(1962)
愛の集会 Comizi d'amore(1964)
奇跡の丘 Il vangelo secondo natteo(1964)
大きな鳥と小さな鳥 Uccellacci e uccellini(1966)
華やかな魔女たち~「月から見た地球」 Le streghe- La Terra vista dalla luna(1966)
アポロンの地獄 Edipo re(1967)
テオレマ Teorema(1968)
愛と怒り Amore e rabbia(1969)
豚小屋 Porcile(1969)
王女メディア Medea(1969)
デカメロン Il Decameron(1971)
カンタベリー物語 I racconti di Canterbury(1972)
アラビアンナイト Il fiore delle mille e una notte(1974)
ソドムの市 Sal o le 120 giornate di Sodoma(1975)
『米川良夫訳『あることの夢、アッカトーネ』(『現代イタリアの文学9』所収・1971・早川書房) ▽米川良夫訳『生命ある若者』(『世界文学全集102』所収・1975・講談社) ▽J・ハリディ著、波多野哲朗訳『パゾリーニとの対話』(1972・晶文社)』

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