パンダ(読み)ぱんだ(英語表記)giant panda

翻訳|giant panda

精選版 日本国語大辞典 「パンダ」の意味・読み・例文・類語

パンダ

〘名〙 (panda)
① 「ジャイアントパンダ」のこと。
※抱擁(1973)〈瀬戸内晴美〉三「巨大なパンダの模型が壁ぎわから声をだしている」
② 「ジャイアントパンダ」と「レッサーパンダ」の総称。中国南西部からヒマラヤ山麓にかけて分布する特異な動物群で、アライグマ科に含められたり、パンダ科として独立した科とされたりすることもある。最近では、前者はクマ科に含め、レッサーパンダだけをレッサーパンダ科とすることが多い。

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デジタル大辞泉 「パンダ」の意味・読み・例文・類語

パンダ(panda)

ネパール語で、竹を食べる者の意》食肉目の哺乳類。ふつうジャイアントパンダをさすが、その発見まではレッサーパンダをさした。
ジャイアントパンダ。体長約1.5メートル、尾長約15センチ。体形はクマに似るが、毛色は白と黒の染め分けで、目の周囲と耳、肩から前肢にかけてと後肢が黒色。手の指は5本が同じ方向にあるが、付け根側に指状突起をもち、主食とする竹をつかむことができる。中国南西部に分布。中国名、大熊猫。大パンダ。
レッサーパンダ。体長約60センチ、尾長約50センチ。全体に赤褐色で、尾に輪紋がある。竹のほか果物・昆虫なども食べる。ネパールからミャンマー・中国西部に分布。中国名、小熊猫。小パンダ。
[補説]1は、近年の研究ではクマ科とする説が有力だが、中国ではジャイアントパンダ科としている。2も分類上、諸説あるが、日本動物園水族館協会ではレッサーパンダ科としている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンダ」の意味・わかりやすい解説

パンダ
ぱんだ
giant panda
[学] Ailuropoda melanoleuca

哺乳(ほにゅう)綱食肉目クマ科の動物。この動物の分類については1世紀以上にわたってアライグマ科、クマ科、パンダ科などの論議がなされてきたが、1996年以降のDNA研究の結果から、早期に分岐したクマ科の動物とみなされている。普通、パンダの名でよばれるが、ほかにジャイアントパンダ、オオパンダの名もあり、中国では大熊猫(ターシェンマオ)と称する。近似種にはレッサーパンダAilurus fulgensがある。パンダは中国四川(しせん)省の中部・北部、甘粛(かんしゅく)省の南端、東経102~104.4度、北緯28~33.25度の範囲に分布。海抜1000~3000メートル、ときに4000メートルの高山地帯で、竹林の密生する所に生息する。本種が動物学上に登場したのは、1869年、フランスの神父ダビッドPère Armand David(1826―1900)によってヨーロッパに紹介されたのが初めてである。

中川志郎

形態

外部形態は、クマに似て頑丈な体格をなし、頭は丸く、胴は太く短く、四肢は太く筋肉質である。成獣は、頭胴長1.2~1.5メートル、尾長10~15センチメートル、体重は80~150キログラム。前肢の手の親指の外側には、指状の突起がある。この突起は可動性に富み、タケに登ったり、タケの枝をつかんだりするのに適し、俗に6本目の指とよばれる。体毛は、黒色と白色のツートンカラーで、目の周り、手と前後肢および前肢から肩の上、頸(くび)の背面までは黒色、ほかの部分は白色である。この体毛から、イロワケグマ(色分け熊)ともよばれたことがある。内部形態は、植物性の食性にもかかわらず、肉食性の形態を残し、胃は単胃で小さく、腸管の長さもわずかに体長の4倍ほどにすぎない。ただ、歯は植物食に適合して、臼歯(きゅうし)は扁平(へんぺい)で幅広く咬合(こうごう)面が大きい。

[中川志郎]

生態

密生した竹林帯に単独で生活し、おもにタケの葉、タケノコなどを食べる。飼育例では、タケの葉のみならず、直径5センチメートルほどのタケの茎をかみ裂き、表皮をはぎ取り、茎肉を好食したことがある。野生のものでは、魚、小動物を食べたという記録もあり、ロンドン動物園ではニワトリのもも肉、上海(シャンハイ)動物園ではウシの肋骨(ろっこつ)を炭火で焼いたものを与えていた例がある。行動は朝と薄暮に活発で、日中と夜間は休息していることが多い。発情期は春で、雌雄ともににおいづけ行動が活発になり、特有の鳴き声を発して、配偶関係を結ぶ。妊娠期間はおよそ150日で、秋に1~2子を産む。新生子はわずかに体重100グラム前後で、感覚機能、運動機能ともに未熟である。約6か月間哺乳し、1年間ほど雌親と行動をともにするが、親離れ以後は単独生活に入る。

 飼育下での繁殖はむずかしく、中国の北京(ペキン)動物園、上海動物園以外では、メキシコのチャプルテペック動物園、スペインのマドリード動物園、アメリカのワシントン国立動物公園および日本の上野動物園などに例がある。上野動物園の場合は、1979年(昭和54)にランラン(蘭蘭、雌)、カンカン(康康、雄)のペアが自然交配に成功し妊娠したが、出産直前にランランが死亡。その後ホアンホアン(歓歓、雌)とフェイフェイ(飛飛、雄)のペアの間で人工授精が試みられ、1985年6月に第1子チュチュ(初々、雄)を出産したが2日後に死亡、ついで1986年に実施した人工授精で6月に第2子が生まれて無事に成長し、トントン(童童、雌)と命名、さらに1988年6月には第3子ユウユウ(悠悠、雄)が同じく人工授精によって誕生した。その後、ユウユウは1992年(平成4)11月に北京動物園のリンリン(陵陵、雄)と交換され、リンリンとトントンとの繁殖が期待されたが、トントンが2000年7月に死亡し、東京第2世の実現は果たせなかった。また、フェイフェイが1994年12月、ホアンホアンが1997年9月に死亡し、リンリン1頭になってしまった。リンリンは、2001年以降チャプルテペック動物園との繁殖計画に参加し、繁殖期の春を同地で過ごしているが、2003年現在ではまだ繁殖に至っていない。

[中川志郎]

パンダ保護

パンダは、中国では第一級保護動物として厳重な保護下にある。パンダの調査と保護活動が国際的規模で行われるようになったのは、1974年から1976年にかけて主要な餌(えさ)であるタケが枯死し100頭を超える野生パンダが餓死するという事態が起こり、1980年に中国政府がWWF世界野生生物基金。現、世界自然保護基金)と協力して調査と保護対策を講ずるようになってからである。1990年代に行われた大規模な生息数調査によってほぼ1000頭という数字と生息環境の悪化が明らかになり、野生状態での保護と飼育下における増殖の両面作戦が必要とされた。とくに野生での保護は保護区の拡大・新設とともに各保護区を結ぶ「緑の回廊」(コリドー)の設置が開始され(2000)、飼育下では繁殖施設の増設と中国動物園協会と国際自然保護連合(IUCN)の野生生物保全繁殖専門家グループ(CBSG)が協力して増殖と基礎研究にあたることになった(1998)。しかし、これらの努力にもかかわらず、2001年2月15日のWWFの発表によれば、野生のパンダの生息数はほぼ1000頭と改善されておらず、その理由は生息山林の減少と生息地の分断にあるとされ、今後の積極的な対策が求められている。

 飼育下繁殖は近親交配を防止する血統登録の実施や人工授精技術の向上などによって改善され、成都(せいと)や臥龍(がりゅう)にある繁殖センターおよび北京、成都、重慶(じゅうけい)、上海などの動物園で毎年十数頭の繁殖がみられるようになっている。パンダの繁殖活動は中国国外でも行われており、日本では、前述の上野動物園とチャプルテペック動物園の共同繁殖計画(2001~)のほか、中国のジャイアントパンダ増殖計画に協力し共同研究をする目的で、和歌山県のアドベンチャーワールドおよび神戸市立王子動物園は中国からパンダを受け入れている。アドベンチャーワールドでは、中国で人工授精を受けてきた雌のメイメイ(梅梅)が2000年9月6日に雌のラウヒン(良浜)を出産し、引き続いて前述の増殖計画により1994年に来園した雄のエイメイ(永明)との間にも2001年12月17日に第2子(ユウヒン〈雄浜〉、雄)、2003年9月8日に雄の双子の第3子、第4子(リュウヒン〈隆浜〉、シュウヒン〈秋浜〉)を出産している。また、アメリカのサン・ディエゴ動物園でも1999年8月に1頭が出産している。いずれにせよ、野生の保護と飼育下繁殖は車の両輪であり、その並行的進展が重要である。

[中川志郎]

『R・モリス、D・モリス著、根津真幸訳『パンダ』(1976・中央公論社)』『ジョージ・B・シャラー、胡錦矗、播文石、朱靖著、熊田清子訳『野生のパンダ』(1989・どうぶつ社)』『東京都恩賜上野動物園編『ジャイアントパンダの飼育――上野動物園における20年の記録』(1995・東京動物園協会)』『パンダ研究所・古川貴俊編・文、東京動物園協会写真『パンダ――PLANET OF THE PANDA』(1999・求龍堂)』『中村翔子文、神戸市立王子動物園写真・監修『コウコウとタンタン パンダ写真集』(2001・BL出版)』『中川志郎著『パンダ日記――カンカンとランランの記録』(新潮文庫)』


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改訂新版 世界大百科事典 「パンダ」の意味・わかりやすい解説

パンダ (熊猫)
panda

ジャイアントパンダとレッサーパンダの2種からなる食肉目パンダ科Ailuridaeの哺乳類の総称。

 レッサーパンダlesser panda,Ailurus fulgensはネパール,シッキム,ミャンマー北部,中国中・南部に分布。体長51~64cm,尾長28~49cm,体重3~4.5kg。体毛は長く柔らかく,尾は房状,背面は栗色で顔は白い。目から口のはしに暗褐色の線があり,腹面と四肢は黒い。尾には輪状斑がある。山地の標高1800~4000mに広がる森林や竹林にすみ,おもに早朝と夕刻に活動する。日中や夜間休むときは枝の上や樹洞にいるが,餌のタケの若芽,草,根,ドングリや昆虫,卵,雛,ネズミなどを食べるときは地上におりる。つがいまたは家族群で行動することもあり,肛門腺をこすりつけてにおいによりなわばりをマークする。妊娠期間90~150日で,1産1~2子,まれに3~4子を生む。寿命は飼育下で13年5ヵ月の記録がある。

 ジャイアントパンダgiant panda,Ailuropoda melanoleucaは中国中部の甘粛,陝西,四川に分布するが,青海と雲南北部にも生息するとみられている。体長1.2~1.5m,尾長13cm前後,体重75~160kg。体毛は厚く密生し,白色で,目の周囲,四肢,前肢の付け根から肩,背にかけてが黒色。ふつう標高2700~3900mの山地の森林にすみ,冬は800mくらいまで下りるが,冬眠はしない。恒久的な巣穴はもたないが,樹洞,岩の割れ目や岩穴を隠れ場所にする。単独で行動し,夜も昼も活動するが,おもに日没直後,真夜中,明け方から10時ころまで,および午後早い時間の4回ほど休息する。食物はたけのこや若いタケ,タケの根が主で,他にリンドウ,アイリス,クロッカスなどやときに魚,ナキウサギ,ネズミなども食べる。飼育下では,交尾期になると,肛門腺からの分泌物でマークする行動が観察されている。交尾期は3~5月で,妊娠期間122~163日の後,ふつう1産1子,ときに2~3子を生む。誕生時は非常に小さく,平均体重は約105g。寿命は飼育下で26年の記録がある。

分類に関しては,従来よりアライグマ科,クマ科,パンダ科,あるいはジャイアントパンダをクマ科に,レッサーパンダをアライグマ科に分類するなど異論が多いが,アライグマ類とクマ類の中間的なグループと考えることができる。レッサーパンダは染色体数36本(アライグマ科は38本,クマ科はふつう74本)だが,前・後足の指は第3指が最長(クマ科は第2,3,4指がほぼ同長),尾長は体長の半分以上,裂肉歯の突起が5個(クマ科は3個),下あごの臼歯(きゆうし)が2対(クマ科は3対),腎臓がブドウの房状ではない(クマ科は房状)などはアライグマ科と同じである。しかし,頭骨の側面に翼蝶管(よくちようかん)と呼ばれる血管の通る孔があり(クマ科と同じ),第2前臼歯の根が3本で,根が1~2本のアライグマ科と異なる。

 ジャイアントパンダは染色体数42本で,レッサーパンダ,アライグマ,クマとも違うが,前・後足の指は第2,3,4指がほぼ同長で,尾が短く,下あごの臼歯が3対で,腎臓がブドウの房状であるなど,クマ科と同じである。しかし,裂肉歯の突起が5個で,翼蝶管がなく,前肢の上腕骨に内側上窩孔(ないそくじようかこう)と呼ばれる特別の孔があることなどはクマ科と異なり,アライグマ科と同じである。

 すなわち2種のパンダはアライグマ科とクマ科のいずれとも異なり,陰茎が小さく後方に向かっていること,陰茎骨が短いことが2種のパンダの特徴であり,さらに手根骨のうち第1指側の種子骨が長いこと,および右側の精巣静脈が下大静脈またはその枝に続くこと(アライグマ科とクマ科では右側の精巣静脈は右側の腎静脈に続く)も,2種のパンダに共通であり,パンダ科の特徴である。むろん,裂肉歯の突起が5個で,内側上窩孔があることなどもパンダ科に共通だが,これらはアライグマ科にもみられる特徴である。
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百科事典マイペディア 「パンダ」の意味・わかりやすい解説

パンダ

食肉目パンダ科の哺乳(ほにゅう)類2種の総称。ジャイアントパンダ(シロクログマ,オオパンダとも)は体長1.3〜1.6m,体には帯黄白色と黒色の大きな斑があり,中国中西部の標高2600〜3500mの高地の寒冷・湿潤なタケ林にすむ。レッサーパンダは体長50〜60cm,尾40cmほど。背面は赤くり色,腹面や四肢は黒色。ヒマラヤ〜中国南部に分布し,高山のタケ林などにすむ。樹上性で樹洞などに雌雄で生活。たけのこ,タケの葉などのほか,ネズミなども食べる。
→関連項目四川ジャイアントパンダ保護区群

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンダ」の意味・わかりやすい解説

パンダ

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デジタル大辞泉プラス 「パンダ」の解説

パンダ〔自動車〕

イタリアのフィアットが1980年から製造、販売している乗用車。3ドア、5ドアの小型ハッチバック。同社を代表する小型車として知られる。

パンダ〔生活用品〕

ポピー製紙が販売するちり紙の商品名。古紙を使用。ソフトタイプ、700枚入り。

パンダ〔金魚の体色〕

金魚の体色の名。黒が部分的に白く褪色したもの。蝶尾にみられる体色。

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