フィンランド史(読み)フィンランドし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィンランド史」の意味・わかりやすい解説

フィンランド史
フィンランドし

フィンランドには古くからフィン人が居住していたが,10世紀以降西からはスウェーデンとローマ・カトリック,東からはロシアとギリシア正教が影響力を争い,結局,前者の優勢裏に 13世紀末この地方はスウェーデンに統合された。 1397年カルマル同盟の成立でデンマーク王がスウェーデンを統治するとフィンランドに対するスウェーデンの圧力が弱まり,その自治は増大した。 16世紀には宗教改革の波が押寄せ,1581年フィンランドは大公国になったが,やがてバルト海東部をめぐるスウェーデンとロシアの紛争に巻込まれた。 18世紀初頭の北方戦争で,スウェーデンはロシアのピョートル1世 (大帝) にバルト海の制海権を奪われ,以後フィンランドに対する支配権も弱まった。 1809年ナポレオン戦争の結果フィンランドはロシアに割譲され,大公国となり,ロシア皇帝が大公を兼ねた。この頃から民族的自覚が強まり,ユリアス・リョンロートによる「カレワラ」の収集,復元などの民族文化やフィンランド語の擁護運動が進んだ。 19世紀末から始ったフィンランドに対するロシアの圧迫に対して,国民の間に独立の機運が高まり,1917年 12月6日,ロシア革命激動のなかで独立を宣言,以後,共和国として発展した。第2次世界大戦中,39~40年に国境紛争をめぐってソ連と戦い,41年にはナチス・ドイツと結んで対ソ戦争に参加,44年ソ連に降伏した。戦後はソ連と友好不可侵相互援助条約 (1948) を結びながらも西側諸国との経済関係強化をはかり,中立政策を維持した。 92年ロシアとの合意により同条約廃棄,新たな条約を締結した。また,95年にはヨーロッパ連合 EUに加盟した。

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