改訂新版 世界大百科事典 「カルマル同盟」の意味・わかりやすい解説
カルマル同盟 (カルマルどうめい)
中世北欧の同君連合。とくに1389-1434年のデンマーク,ノルウェー,スウェーデン(フィンランドを含む)3王国間の同君連合をいう。上記の時期以前から,スウェーデン・ノルウェー間で(1319-43),またデンマーク・ノルウェー間で(1380-1814)同君連合が成立しており,1389年デンマーク・ノルウェーの摂政マルグレーテ1世がスウェーデンの摂政に選ばれ,スウェーデン王メクレンブルク家のアルブレヒトAlbrecht(1340ころ-1412)を,スウェーデン貴族の支援をうけてファルヒェーピングFalköpingの戦で捕囚とし,彼女は事実上の3王国の支配者となった。97年スウェーデンのデンマーク国境に近いカルマルKalmar城で最初の3国共通の君主が,3国の貴族らによって選ばれ,マルグレーテの姉の孫にあたる15歳のポンメルンのエリク(7世)が3国の王となり,それによりこの連合は〈カルマル同盟〉と呼ばれる。デンマークの優位が前提となっており,防衛・外交および一部の財政部門の一体化が図られてはいたものの,連合が3国の内政に関与する法・規定は存在しなかった。王位は先王の息子たちのうちから選出されることが規定されたが,嗣子のいない場合は自由な人選が行われるべきだとされた。また,憲章風の文書にノルウェーの国璽が欠落しているために法的手続きに問題があったとノルウェー史家は指摘している。カルマル同盟の終了については,1434年のスウェーデンのエンイェルブレクトの乱に,1448年のカール・クヌートソンがスウェーデン王に選出された時点に,また1523年のグスタブ1世のスウェーデン王選出によるスウェーデンの独立等に求められたりする。デンマーク・ノルウェー間の同君連合は1814年まで続いた。
執筆者:村井 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報