フィーバーフュー(読み)ふぃーばーふゅー(その他表記)feverfew

翻訳|feverfew

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィーバーフュー」の意味・わかりやすい解説

フィーバーフュー
ふぃーばーふゅー
feverfew
[学] Tanacetum parthenium (L.) Sch.Bip.
Chrysanthemum parthenium (L.) Pers.

キク科(APG分類:キク科)の多年草で、和名ナツシロギク。葉に強い芳香があり、ハーブとして用いられる。原産地はバルカン半島から西アジア。高さ50センチメートル内外で、上部でよく分枝し、枝先に直径2センチメートル内外の頭花をつける。頭花の中心部には黄色の管状花が集まり、周辺には白色の舌状花が1列に並ぶのがふつうだが、多列となったり舌状花を欠く園芸品種もある。葉はキクに似て羽状に深裂し、裂片は羽状に浅裂する。葉が黄緑色の園芸品種をキンヨウギク(ゴールデンフィーバーフュー)という。

[森田洋子・福田泰二 2022年4月19日]

利用

頭痛を和らげるハーブとして、数世紀にわたって利用されてきたが、近代に至って、主成分であるセスキテルペン・ラクトンがプロスタグランジンヒスタミンを抑制する効果のあることがわかった。脳の血管の痙攣(けいれん)が抑制され、片頭痛などの痛みを和らげるといわれている。1日3~5枚の葉をパンにはさんで食べると効果があるとされるが、副作用で口に潰瘍(かいよう)ができることもあるので、体質にあわせて利用することがたいせつである。また、葉の苦い浸出液は下剤として使われていたらしい。さらに、しみ、そばかすを薄くする効果があるため、17世紀ごろにはローション材料として用いられていたとの記録もある。日本の菊の香りには鎮静効果があり、同じ香りのするこの植物にも鎮静効果が期待できる。生け花にして部屋を薫らせたり、乾燥して枕のなかに入れることで、安眠効果をもたらす。花はポプリに、葉は防虫用の匂(にお)い袋(サシェ)に適している。

 日当りのよい乾いた場所を好み、小さなまとまった株になるので、株分け、さし芽で殖やす。こぼれ種から芽を出すくらいに強いハーブである。

[森田洋子・福田泰二 2022年4月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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