北大西洋のアイスランドと英国スコットランドの間に位置するデンマークの自治領。幅広い自治権を認められており、協定締結や税制について自ら決定する権限を持つ。主に18の島から成り、面積は静岡市とほぼ同じ約1400平方キロ。人口は約5万人。漁業が経済の中核で、日本にはサケや白身魚などを輸出している。対日交流にも熱心で、捕鯨の伝統があるクラクスビーク町は今年1月、捕鯨やイルカ追い込み漁で知られる和歌山県太地町と姉妹都市提携を結んだ。
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スコットランドの北方大西洋上にある島々で,現在はデンマークの自治領。面積約1399km2,人口4万4000(1996)。住民はノルウェー西部の方言に似たフェロー語を話し,彼らの先祖は先住のアイルランド隠修士を追い出したノルウェーのバイキングである。9世紀初めに入植,1000年ころキリスト教化され,1035年にノルウェーの版図に組み込まれた。1380年ノルウェーとデンマークが同君連合に入って以来,デンマークの支配を受け,1852年以降,独自の公用語と旗を認められた自治領となった。中心都市はストレイム島のトウシュハウンThorshavn(人口1万5000,1996)で,冬の平均気温は3.9℃(1月)と北欧では最も高いが,夏は11.1℃(8月)と冷涼で,降水量も本国の2倍以上の1433mmという典型的な海洋性気候である。溶岩を基盤としているこの諸島は,かつては名のごとく〈羊の島〉であったが,産業の中心を19世紀後半に農業から漁業に転じ,漁業の保護を目的として,本国のEC加盟(1973)に従わなかった。
執筆者:村井 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
北部大西洋上にあるデンマーク自治領の島々。イギリスとアイスランドの中間付近に位置する。デンマーク語名フェアエーアネ(フェレルネ)Færøerne諸島。島民はフェロヤルFøroyar島とよぶ。フェローは英語名。面積1399平方キロメートル、人口4万6996(2001)。18島からなり、1島を除き全島に人が住む。最大の島はストレイモイ島(373平方キロメートル)で、同島のトゥシュハウンThorshavn(人口1万8070。2001)が中心都市である。北方に位置するが、海流の影響で2月の平均気温は4℃であり、北欧のなかでもっとも冬季は温暖である。植生は草原が圧倒的。
住民はノルウェーに発するバイキングの末裔(まつえい)で、言語は、北ゲルマン系、古ノルド語の特徴を保つ、アイルランド語に近似のフェロー語が用いられる。1380年のデンマーク・ノルウェー連合王国の成立以来、デンマークの支配下にあった。1849年以降デンマーク議会に代表を送り、1852年独自の議会をも有し、1948年自治権を得た。デンマークはEU(ヨーロッパ連合)加盟国だが、フェロー諸島は非加盟。
[村井誠人]
北大西洋に位置するデンマークの自治領。8世紀にアイルランドの聖職者によって発見され,9世紀からノルウェーのヴァイキングが入植を始めた。その後,キリスト教化が進み,1035年にノルウェー領となるが,1380年にデンマーク王がノルウェー王を兼ねることになったため,デンマーク統治下に置かれ現在に至る。1948年フェロー自治法が制定され,自治権を獲得,独自の自治政府,自治議会を有することとなった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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