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フォスフォリラーゼ phosphorylase

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フォスフォリラーゼ
ふぉすふぉりらーぜ
phosphorylase

グリコシル転移酵素(六炭糖や五炭糖が結合している化合物から単糖を切り離して、他の化合物に転移する酵素の総称)の一種。フォスフォリラーゼは、グリコーゲンやデンプンのようなα(アルファ)-1,4-グルカン(グルコースが縮合してできた多糖類)の非還元末端(還元性をもたないグルコース末端)のグルコシド結合を無機のリン酸を使って分解し、α-グルコース1-リン酸を生成する反応を触媒する酵素である。グルカン(重合度n)+リン酸→グルカン(重合度n-1)+グルコース1-リン酸。国際生化学連合(現在は国際生化学・分子生物学連合)の酵素委員会が制定した酵素番号はEC2.4.1.1。系統名は1,4-α-D-Glucan:orthophosphateα-D-glucosyltransferase。
 骨格筋、肝臓をはじめとする種々の動物組織、植物、微生物など生物界に広く分布する。狭義のフォスフォリラーゼはグリコーゲンを分解するグリコーゲンフォスフォリラーゼをさす。動物の骨格筋および肝臓に蓄積されるグリコーゲンはグリコーゲンシンターゼにより合成され、グリコーゲンフォスフォリラーゼにより分解される。グリコーゲンの代謝は両酵素の活性型と不活性型の相互転換により調節されている。身体がアデノシン三リン酸(ATP)を必要とするときは副腎髄質からアドレナリン(エピネフィリンともいう。ホルモンの一種)が分泌され、その後数段階の過程を経て、両酵素ともリン酸と共有結合したリン酸型となる。グリコーゲンシンターゼはリン酸型が不活性型であり、グリコーゲンフォスフォリラーゼはリン酸型が活性型である。その結果、グリコーゲンの分解が進みグルコース1-リン酸を供給する。これはグルコース6-リン酸となり解糖系に入ってATPの生成に使われる。このようにグリコーゲンからグルコース6-リン酸を生成するには無機のリン酸を使用するが、グルコースからグルコース6-リン酸を生成するにはATPを消費する(解糖の項目参照)。グリコーゲンは効率のよいATPの原料である。
 フォスフォリラーゼ活性の調節機構は起源により大きく異なる。ジャガイモ酵素は活性型のみで存在し、活性調節を受けない。微生物酵素は両者の中間的な性質を示す。このような起源による調節的な相違にかかわらず、いずれの酵素も分子量10万のサブユニットからなり、二量体または四量体として存在する。サブユニット当り1個のピリドキサールリン酸(補酵素の一種)を共有結合している。起源にかかわらず、最適pH(ペーハー/ピーエイチ)(水素イオン濃度)は6~7。α-グルコース1-リン酸に対する特異性は高いが、多糖類基質に対する特異性(重合度と分枝度について)は、起源により異なる。筋のフォスフォリラーゼ欠損症として糖原病型(マッカードル病)が知られている。微生物にはショ糖、トレハロース、セロビオース(以上、二糖の一種)を特異的に分解するフォスフォリラーゼが存在する。[徳久幸子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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