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フルート flute

翻訳|flute

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フルート
flute

木管楽器の一種。リードのついていない横吹きの高音用楽器で,現在使用されているものは木製または金属製,13以上の音孔がある。管弦楽のほか,室内楽独奏にもよく使われる。1オクターブ高いピッコロ,1オクターブ低いバス・フルートも用いられる。横吹きのフルートは前2世紀頃のエトルリアの壺絵にみられるが,管弦楽のなかに初めて用いたのは 17世紀のリュリで,その後技術的に改良が重ねられ,1830年代に T.ベームによって今日のベーム式フルートがつくられた。

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デジタル大辞泉の解説

フルート(flute)

《「フリュート」とも》木管楽器の一。横笛の一種で、古くは木製、現在は金属製の管に鍵機構を備えたものが普通。音域はほぼ3オクターブで、柔らかく清澄な音色が特徴。

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百科事典マイペディアの解説

フルート

木管楽器の一種。リードのない笛の総称としては古い歴史をもち,J.S.バッハの時代までは縦笛(リコーダー)をさしたが,次いで横笛フラウト・トラベルソをさすようになった。
→関連項目管楽器管弦楽ブリュッヘン

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岩石学辞典の解説

フルート

fluteという語は,最初は基盤岩の上を流れる水によって削剥された空洞に使用された[Maxon & Campbell : 1935].現在では泥に刻まれた洗い流し跡(scour mark)に用いられている[Sanders : 1956].フルート・キャスト(flute cast)はソール・マーキングとして保存されたものを砂が充填したもの[Crowell : 1955].これは流れの方向に伸びて,流れに平行な軸に大体対称的な構造となっている.上流部の頭(head)または嘴(beak)では深くなる傾向があり,下流ではフレアーができて次第に層理面と混ざる構造となる.個々の形状や集合した形は様々である[Fugger : 1899, Rucklin : 1938, Haaf : 1959, McBride : 1962, Dzulynski & Walton : 1965].フルート・キャスト(flute cast)は乱流跡ともいい,乱流による渦によって下位層の上部に掘り込まれた窪みの鋳型(cast)をいう.これによって乱泥流堆積物の流れの方向や向きを知ることができる[木村ほか : 1973].フルートにはlobate rill mark, scour cast, scour finger, turboglyph, vortex castなど同様の意味の名称がある.

フルート

水や氷の作用で伸びた窪地(flute)が形成されることで,伸びた軸は一般的な流れに平行である.氷河学では,氷の圧力によって基盤岩で浸食されたか漂石粘土(till)に作られた平行なグルーブが記録される[Maxon : 1940, Flint : 1971].

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世界大百科事典 第2版の解説

フルート【flute】

元来ノンリードの木管楽器の総称であるが,狭義には西洋音楽に用いられる横笛を指す。本項目では狭義のフルートについて扱う(広義のものについては〈〉の項目で記述する)。 奏法は歌口に半ばかぶせるように唇を置き,息を歌口の前縁に当てて音を出す。自然で乱れのない空気の流れを集中的に歌口に当てることが必要で,そのためのあごと唇のかまえ(アンブシュール)および呼吸法が大事である。息の当て方によって強弱・高低・音色がコントロールされる。

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大辞林 第三版の解説

フルート【flute】

木管楽器の一。横笛で、古くは黒檀などを素材とするが、現在は多く金属で作られる。音域は三オクターブ。美しい澄んだ音色をもち、独奏・管弦楽に用いられる。フリュート。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フルート
ふるーと
flute英語
Flteドイツ語
flteフランス語
flautoイタリア語

ノンリードの吹奏気鳴楽器。広義には容器の形や、管状(縦・横)など楽器の形状を問わず、リードがなく、奏者の口から中空の胴に空気を送り込み、胴内に空気の流れをつくることによって発音する吹奏気鳴楽器の総称であるが、狭義には西洋において縦笛(リコーダー)と区別され、独自の発展を遂げてきた横吹きの吹奏楽器をさす。しかし、西洋においても18世紀末までは、単にフルートといえばおもにリコーダーをさし、横吹きの楽器はフラウト・トラベルソflauto traverso(イタリア語)あるいはトラベルソとよばれ区別されていた。その後、横笛の意味に重点が移り、19世紀中ごろに完成したベーム式フルートおよびその改良型が、管弦楽や吹奏楽などの代表的木管楽器として広く普及していった。今日一般的にフルートといえば、この西洋の木管楽器をさす。[藤田隆則]

歴史

最初、規格も統一的でなかったこの楽器も、ルネサンス期にはアンサンブルに用いる楽器として、サイズの異なる3、4本をセットにしてつくられるようになった。しかし、この種の無鍵(けん)フルートは高音域の音やクロス・フィンガリングで出す半音の音程が不安定で出しにくいという欠点があり、同種楽器のアンサンブルとしてはリコーダーのほうが愛聴された。
 しかし、フルートには息づかいやクロス・フィンガリングによる多彩な音色変化に特長があり、劇的効果を求めた当時のオペラ伴奏に重用されるようになった。そして17世紀後半フランスにオトテールHotteterre一族が現れ、フルートを室内楽用の楽器として発展させ、その普及に力を注いだ。オトテール一族はフルートのための作曲、教則本の作成をしただけではなく、フルートにクローズド・キー(鍵)を一つつけ、クロス・フィンガリングが少なくてすむようにくふうしたり、管の内部を円錐(えんすい)形に改造して高音域を安定させ、管を頭部・胴部・足部の三つに分割できる構造にしてチューニングを容易にするなどの改良を施した。現在バロック・フルートまたはオトテール型フルートともよばれるものがこれである。オトテール一族の努力によってフルートはしだいに独奏楽器としても認められるようになり、バッハやテレマンの作品が生まれた。しかし、フルートにもいくつかの問題が残されていた。たとえば、クロス・フィンガリングによる半音は音質的に鋭すぎて、均質な音色を出すためにはオーボエやリコーダーのクロス・フィンガリングとは比較にならないほど、唇の当て方や指の当て方の熟練を必要としたのである。楽器の構造のうえで音色の不均質さを克服することが課題として残されていた。
 18世紀にはこのバロック・フルートをモデルにし、その欠点を克服すべく改良が進められた。まず指穴のある胴部をさらに2分割し、接合部で音高の調整を行いやすくした。またドイツのクワンツは、長さの異なる胴部を数本つくり、それを差し替えることによって、当時、町ごとに異なっていた音高に適応できるようにした。また工法的には胴の2分割によって管の内部の円錐の角度を大きくすることができ、フルートは低音域よりもむしろ高音域ではっきりとした音が出せる楽器へと変化していった。
 18世紀後期には、モーツァルトのフルート協奏曲なども生まれ、あらゆる調性に適応できるフルートの改良に努力が傾けられ、これまでの一鍵フルートにさらにキーが追加されていった。従来の楽器に慣れた演奏者側からの強い抵抗もあったが、19世紀には八鍵フルートが主流化し、現在のフルートの型により近づいた。
 八鍵フルートではクロス・フィンガリングなしで半音を吹奏することが原則的に可能であり、音色の均質な近代楽器として多用された。シューベルトをはじめ、名人芸を追求した曲作りがなされるようになったこのころの新たな課題は音量の増大ということであったが、これも、クロス・フィンガリングが少なくなり、指穴をより大きくつくることが可能になって徐々に実現されていった。19世紀ドイツのフルート奏者であるテオバルト・ベームは指穴を大きく切り、それらのすべてを蓋(ふた)付きとし(いわゆるカップ・キー)音量増大を図った。同時に運指を簡便化するためにキーを連動式にしたり、キーの機構を合理化させたりし、また素材として純銀を使うといった大改良を施した。1847年に完成したこのモデルはベーム式フルートとよばれる。ベーム式はまずフランスで採用され、イギリス、アメリカに普及していった。20世紀にはベームの生地であるドイツもこれを受け入れ、全欧米に広まった。しかし、このベーム式運指では左小指の動きが旧来のモデルと逆の動きになるという欠点がある。そのため、それを克服したG♯オープン式、G♯クローズド式などが現在では標準的に使われている。[藤田隆則]

楽器

ベーム式フルートは全長約66センチメートル、内径約2センチメートルで、頭部・胴部・足部の三つに分けられ、使用時に組み立てられる。管材は銀製のものが普及しているが、金製、プラチナ製のものもある。C管が標準で、音域はC4からほぼ3オクターブにわたる。温度の変化によって音程が変わりやすいので、頭部と胴部の接合部をずらすことによって微調整する。
 なお、同族楽器にはピッコロ、バス・フルートなどがあり、これら同族楽器によるアンサンブルも行われる。[藤田隆則]

奏法

数々の欠点にもかかわらず、フルートが時代を超えて生き延びたのは、バロック・フルートのころから「もっとも簡単で、もっともむずかしい楽器の一つ」といわれてきたことからもわかるように、手軽に音が出せることで多くのアマチュアの支持を得ることができたからであった。しかしその分、上手な演奏に到達するのはむずかしい。奏法上のむずかしさを生んでいるのは唇の当て方と呼吸法であろう。息の当て方だけで、強弱のみならず音色や高低にも変化が出てくる。そういったフルートの呼吸法を特徴づけているのは、まずタンギングである。タンギングは、tやdなどの子音を発音する要領で、唇から出る空気流を分節して、楽器の音の一つ一つを明確に分節するための手段であり、同時に音色や強弱の変化も生み出す。速いパッセージを演奏する場合は、二つの子音(t・k)を繰り返すダブル・タンギングや三つの子音(t・t・k)をひとまとめにして繰り返すトリプル・タンギングなども用いられる。また、タンギングのまとまりとフレージングには密接な関係があるので、楽曲を歌わせるためにタンギングは不可欠なものになっている。20世紀になると、d・r・r・rのように舌を転がすことでトレモロを生むフラッター技法も生まれた。
 次に、フルートの演奏では、微少なビブラートが音の厚みをつけるために要求される。腹筋などを使って息をふるわせるのがおもな方法で、それ以外にもあごを微動させたり、指を動かすことによってこれをつけることができるが、過剰なビブラートは「山羊(やぎ)の鳴き声」と例えられて嫌われる。
 そのほかにも、現代では、倍音の出やすいフルートの構造を利用したハーモニクス(基音の振動を意識的に押さえ、倍音をはっきり響かせる奏法)や、重音奏法などがある。またジャズでは、のどで声を出したりハミングをしながら吹く奏法もある。[藤田隆則]
『J・J・クヴァンツ著、荒川恒子訳『フルート奏法』(1976・全音楽譜出版社) ▽奥田恵二著『フルートの歴史』(1978・音楽之友社) ▽宮本明恭編『フルート講座――入門者のための』(1981・自由現代社)』

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世界大百科事典内のフルートの言及

【管楽器】より

…管の中の空気(空気柱)に外部から気流(ふつうは奏者の呼気)を作用させて楽音を作る楽器の総称。気流の作用を受ける方式には,(1)管壁に小孔をあけ,側縁に気流を当てる(フルート),(2)管の入口に振動体をしかける(オーボエ,クラリネット),(3)管の入口に唇を当て,振動体として機能させる(トランペット)がある。(2)の場合の振動体は,適当な弾力のあるリードと呼ばれる薄片で,シングル・リード,ダブル・リードなどの別がある。…

【笛】より

…しかし日本では,それらのなかでもいわゆる横笛の類が多用され,とくに親しまれてきたため,笛といえば横笛のことという観念もまた強い。 横笛とは竜笛(りゆうてき),能管篠笛等々を指す俗称で,演奏時の構えに由来する呼び方であるが,原理的・構造的にも共通性があり,和楽器以外(たとえば洋楽のフルート)にも適用が可能である。その発音機構には目で見る限り,音づくりのきっかけをつくる振動体であるリードの存在が認められない(このことを指してノンリードなどともいう)。…

【リコーダー】より

…洋楽の管楽器の一種。エア・リードの笛,つまり広義のフルートに属し,指孔は前面に7,背面に1の計8個。英語の動詞recordに,古くは鳥の〈さえずる〉意味があり,語源かといわれる。…

※「フルート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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