クワンツ(読み)くわんつ(英語表記)Johann Joachim Quantz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クワンツ」の意味・わかりやすい解説

クワンツ
くわんつ
Johann Joachim Quantz
(1697―1773)

18世紀ドイツの作曲家。演奏理論書『フルート奏法試論』(1752)の著者として重要。1月30日、オーバーシェーデンに生まれる。町楽師の修業後、1717年ウィーンに赴き、ゼレンカフックスのもとで対位法を学ぶ。18年ドレスデンとワルシャワでオーボエ奏者となり、当時最大のフルート奏者ビュファルダンに師事後、フルート奏者となった。24~27年イタリア、パリ、ロンドンに旅行後、ドレスデンに戻るが、28年プロイセン皇太子フリードリヒ(後のフリードリヒ大王)に出会い、彼が国王に即位した41年には宮廷作曲家としてポツダムに招聘(しょうへい)された。大王が好んだフルートのために約300曲の協奏曲、約200曲の室内楽曲を書き、73年7月12日同地で没した。

樋口隆一

『石原利矩・井本晌二訳『フルート奏法試論』(1976・シンフォニア)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クワンツ」の意味・わかりやすい解説

クワンツ
Quantz, Johann Joachim

[生]1697.1.30. オーバーシェーデン
[没]1773.7.12. ポツダム
ドイツのフルート奏者,作曲家。ドレスデンの宮廷管弦楽団のオーボエ奏者となり,その後フルートをビュッファルダンに師事し,フルート奏者に転向。 1724年ローマでガスパリーニに対位法を学び,28年プロイセンの皇太子フリードリヒ (のちのフリードリヒ大王) のフルート教師となり,40年フリードリヒの即位後,宮廷作曲家として好遇された。作品には 300曲にのぼるフルート協奏曲をはじめ数多くのフルート曲がある。また著書『フルート演奏の指針』 (1752) は単なるフルート演奏に関する記述ではなく,18世紀の音楽様式,演奏習慣にまで及ぶ広範なものである。

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