オーボエ(読み)おーぼえ(英語表記)oboe

翻訳|oboe

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーボエ」の意味・わかりやすい解説

オーボエ
おーぼえ
oboe

円錐(えんすい)管の上端にダブルリードを取り付けた気鳴楽器一種語源フランス語のhaut(高い)とbois(木)をあわせたhautbois(高音木管楽器)であるとされ、この語は15世紀末から用いられた。いわゆるオーケストラオーボエは、通常木製で管長約70センチメートル。リードは葦(あし)製で、奏者自身が製作くふうする。管長は一定で、リードの差込み加減だけで音高を微調整するので、木管楽器のなかでもっとも音律を変えにくく、合奏の際は他の楽器がオーボエにあわせる。移調楽器ではなく、基音はC4、つまりC管で記譜と実音が一致する。音域はB♭3からG6。指で管孔を開閉するキー装置は、初期には2、3にすぎなかったが、19世紀に現在の原型が整えられた。オーボエの前身楽器としては、12世紀に近東からヨーロッパに入り、ルネサンス期を通じて発達したショームshawmがあげられる。そのなかで比較的高音のものが17世紀ごろオーボアとよばれるようになり、これに対してのちにつくられた低音のもの(grobois)は、コーラングレファゴットなどの先祖となった。オーボエは初期の16、17世紀には舞踊伴奏に用いられていたが、その後、音の持続性や鋭いが深みのある音色が買われて、オペラや室内楽、オーケストラなどで重要な地位を占める楽器となった。

 オーボエは広義にはダブルリードの木管楽器の総称として用いられ、そこにはヨーロッパのオーボエの前身だけでなく、世界に古くからあるさまざまなショームも含まれる。古代ギリシアのアウロスを筆頭に、トルコのズルナ、インドのシャーナーイ、チベットのリャリン、ソルナー、中国のソーナー(嗩吶)、タイのピー・ナイ、東アジアの篳篥(ひちりき)、チャルメラなどがある。これらは歴史的に関連性をもっており、たいていアンサンブルのなかで主旋律を受け持つ主要楽器となっている。

[川口明子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーボエ」の意味・わかりやすい解説

オーボエ
oboe

管楽器の一種。ダブル・リードの木管楽器。管長約 70cmで,円錐管。今日のオーケストラでは木管楽器群の重要楽器で,高音部を受持つ。ダブル・リードの楽器は全世界に古くから存在するが,直接の前身はショーム,シャルマイ,シャリュモーであるとされている。 17~18世紀頃今日のオーボエの原型が作られ,19世紀にキーメカニズムが完成された。フランス式とドイツ式があり,特にフランスのコンセルバトアール式が一般的。

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