フロックコート(その他表記)frock coat

翻訳|frock coat

デジタル大辞泉 「フロックコート」の意味・読み・例文・類語

フロック‐コート(frock coat)

男子用の昼間礼服。上着丈はひざまであり、ダブルで、襟には黒絹をかぶせ、縞のズボンと組み合わせて着る。現在はモーニングコートが主に用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「フロックコート」の意味・読み・例文・類語

フロック‐コート

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] frock coat ) 男子の昼間用礼服。上衣はダブルで、四つまたは六つボタンにし、丈(たけ)はひざまで及ぶ。上衣とチョッキは黒の無地、ズボンは縞物を用いる。フロック
    1. [初出の実例]「『フロックコート』と唱ふる、袴羽織の代服を勤むる西洋服を着たる方も」(出典:東京日日新聞‐明治八年(1875)二月七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「フロックコート」の意味・わかりやすい解説

フロックコート
frock coat

1920年代の半ばごろまで用いられた昼間の男性用礼服。膝丈でダブルの打合せ,腰から下がひろがり後ろ中央にベンツ,衿には拝絹をかぶせた。黒白ストライプのズボンを用いた。フロックとは元来聖職者の着るゆったりした衣服をいい,後には農民の着るスモックも意味し,16~17世紀には女性のガウンをも呼んだ。フロックコートは,18世紀に着用されたルダンゴトredingote(英名ライディングコート)の発展したものと考えられ,当初は乗馬服であった。フランス革命後の1790年代には長ズボンと組み合わせて着用された。19世紀前半に市民服として流行したが,やがて日常着にモーニングコートが用いられるようになると,フロックコートは礼服となり,その後すたれた。日本へは片山淳之助(福沢諭吉)の《西洋衣食住》(1867)に〈割羽織--ゼンツルマンコート〉として紹介された。1872年(明治5)の官員服制以降普及した洋服は,ほとんどフロックコート型であり,軍服にも採用された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フロックコート」の意味・わかりやすい解説

フロックコート
frock coat

18世紀末から 19世紀後半にヨーロッパの男性が着用した最も一般的なコート型の表着。市民服の典型とされたが,背広服が普及する 19世紀後半以降は,次第に正装と化し,さらに第1次世界大戦以降は一部の礼装として残存する以外,今日ではほとんどすたれた。ごく初期には,身体にぴったりしたジュストコールに対して,同型の総体的にゆったりした膝丈の表着をさしており,一般にゆるやかな服をさすフロックの語が用いられた。のち長ズボンの採用に伴い,ウエストラインで切替えて,そこからスカート状の垂れ部をつけた両前 (ダブル) 形式の表着をさすようになり,それがフロックコートの典型となった。日本では明治から大正にかけて男性の洋服礼装となり,初期の軍服も,基本的にはこの型を踏襲していた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロックコート」の意味・わかりやすい解説

フロックコート
ふろっくこーと
frock coat

19世紀に、男子が昼間の平常着として着用したコート。打合せはシングルまたはダブルでウエストラインに切り替えがあり、スカート部が膝(ひざ)の近くまでの長さで円筒状に保たれている点が、当時着られた他のコート、つまりテールコートやモーニングコートと異なっている。生地(きじ)は、黒または暗灰色のチェビオット・ウールやウーステッドを用い、灰色、黒の縞(しま)または格子柄(がら)のズボンを組み合わせ、対比的な色や材質のチョッキが着られた。1850年代の終わりに男子の日常着として、後のスーツ(三つ揃(ぞろ)い)の原型となったサックコートsack coatが現れ、しばらく共存していたが、19世紀の末に向かって廃れていった。なお一部に正装として残された。

[菅生ふさ代]


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百科事典マイペディア 「フロックコート」の意味・わかりやすい解説

フロックコート

男性の昼間用礼服。上衣はダブルでボタンは二つか三つ,丈は膝(ひざ)まであり,色は黒が普通。ズボンは縞(しま)柄だが喪服用には黒を用いる。上衣と共布の黒のチョッキに白のシャツをつけ,黒かグレーのネクタイを締め,シルクハットにエナメルの靴を用いる。19世紀半ばには男性の日常着であったが,末期には礼服となった。現在はほとんど用いられない。

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