翻訳|morning coat
男子が昼間に用いる礼装用上着。黒無地のドスキンやカシミアなどの素材を使い、襟は剣襟、シングルの一つボタンが多い。ウエストに切り替えの縫い目が入り、前身頃(みごろ)の裾(すそ)は大きく斜めにカットされているが、後ろ丈は膝(ひざ)の裏あたりまで届いているのが普通である。後ろ身頃のウエストラインから裾に向かって長いベンツが入る。これにあわせるズボンは黒とグレーの縞(しま)。チョッキは上着と共布またはグレーの地で、シングルの五つボタンまたは六つボタン、ダブルの三つボタンも用いられる。シャツは白で、襟はウイング・カラーまたはダブル・カラーである。ネクタイは黒・白のストライプなど。
[菅生ふさ代]
19世紀にヨーロッパの男性が礼装用の上着であるアビhabitと区別して、日常着として着用していたカッタウエーコートcutaway coat(前身頃の裾を斜めにそぎとる意)の一種であった。乗馬用のニューマーケットコートnewmarket coatから変化したともいわれるが、時代の流行によって、切り替えの線やポケットの位置などが多少異なる。19世紀後半から昼の略礼服の役目を果たすようになり、現代になって昼の正式礼服となった。
[菅生ふさ代]
午前~日没までに着用される男性の正礼装。カッタウェー・コートcutaway coatともいい,19世紀前半,イギリスでフロックコートの前裾を裁ち落としたのに由来する。乗馬用として始まり,日常着,礼服と変化し,1920~30年代にフロックコートに代わる昼間の正礼装となった。第2次大戦後欧米では,結婚式以外にはほとんど用いられなくなったが,日本では一般的礼装として定着した。
前裾は大きくカットされ,後腰から裾へベンツを入れ,丈は膝丈が普通。打合せはシングルで一つボタン,襟はピークド・ラペル(剣襟)。生地は黒またはオックスフォード・グレー(黒に近いグレーの霜降り)のドスキン,カシミアなどの礼服地を用い,チョッキも共布でシングル,または慶事にはグレーなど薄い色のシングルかダブルにする。ズボンは黒とグレーの縞ズボンで,折返しがつかない。ワイシャツは白地で,ウィング・カラー,カフスはダブル。ネクタイは白黒の縞,みじん柄,シルバー・グレーの無地,黒(弔事)を結び下げにする。
→礼装
執筆者:星野 醍醐郎
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