ブッカー・T&ザ・MGズ(読み)ぶっかーてぃーあんどざえむじーず(英語表記)Booker T. & The MG's

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ブッカー・T&ザ・MGズ
ぶっかーてぃーあんどざえむじーず
Booker T. & The MG's

アメリカのソウル・ミュージックのインストゥルメンタル・バンド。1962年に結成された。もともとはメンフィスにあったスタックス・レコードのハウス・バンドだが、その優れたサウンドがロック・ファンにも広範に支持され多くの追従者を生んだ。

 1960年代、デトロイトのモータウン・レコードとならび、ソウル・ミュージックの牙城となっていたのがスタックスだった。スタックスはオーティス・レディング筆頭に、ルーファス・トーマスRufus Thomas(1917―2001)やサム&デーブほか、一時代を築いたシンガーが多くの名作を吹き込んだことで知られる。スタックスの黄金期を演奏で支えたのがMGズの面々だった。結成当初の彼らは、オルガニストのブッカー・T・ジョーンズBooker T. Jones(1944― )、ギタリストのスティーブ・クロッパーSteve Cropper(1941― )、ベーシストのルイス・スタインバーグLewis Steinberg、ドラマーのアル・ジャクソンAl Jackson Jr.(1934―1975)で構成され、その後ベース担当は1964年にドナルド・ダック・ダンDonald“Duck” Dunn(1941―2012)に代わった。

 バンドとしての最初のヒット曲は「グリーン・オニオン」(1962)で、シンガーのビリー・リー・ライリーBilly Lee Riley(1933― )をスタジオで待っているときに暇つぶしで演奏していた曲がまとまったものだった。以後、彼らはセッションマンの仕事をしながらも、一定してレベルの高い作品をレコーディングした。1960年代後半のヒット「ヒップ・ハグ・ハー」「ソウル・リンボー」「ハング・エム・ハイ」ほか、どれもが小気味のいいリズムとサウンドで、ロックだけでなくジャマイカレゲエなどにも少なからぬ影響を与えた。

 彼らの歴史的な重要性はそれだけではなく、バンドの人種構成にもあった。人種差別の激しい南部にあって、MGズは白人(クロッパー、ダン)と黒人(ジョーンズ、ジャクソン)がしっかりと手を結んだバンドだった。黒人が生み出したファンクやブルースなどの感覚を、クロッパーたちも共有し新しい音楽づくりに励んだのだった。

 1970年代に入り、クロッパーはメンフィス以外の地で引っ張りだことなり、ジョーンズは大学で学位を修得するなど、それぞれが多忙のためバンドは維持が困難となり、ブッカー・T&ザ・MGズは姿を消すことになる。

 1975年、再結成アルバムを録音中ジャクソンが強盗に襲われて死亡。残されたメンバーは映画『ブルース・ブラザーズ』(1980、ジョン・ランディスJohn Landis(1950― )監督)に出演したり(クロッパーとダン)、ボブ・ディランらのバック演奏などで活躍している。

藤田 正]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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