レディング(読み)れでぃんぐ(その他表記)Otis Redding

デジタル大辞泉 「レディング」の意味・読み・例文・類語

レディング(Redding)

米国カリフォルニア州北部の都市。シャスタ山を源とするサクラメント川沿いに位置する。ラッセン火山国立公園、シャスタ湖などへの観光拠点。サンティアゴ=カラトラバ設計の美しい斜張橋、サンダイアル橋がある。
米国ペンシルベニア州南東部の都市。シュイルキル川沿いに位置する。周辺で鉄鉱石と石炭を産し、工業都市として発展した。ペン山の頂上にある、20世紀初めに建造されたパゴダとよばれる日本風の五重の塔が有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レディング」の意味・わかりやすい解説

レディング(Otis Redding)
れでぃんぐ
Otis Redding
(1941―1967)

アメリカのソウル・ミュージックシンガー。ジョージア州西部のドーソンに生まれ、26歳の若さで飛行機事故で没する。不朽のソウル・シンガーとして今も語り継がれる。

 レディングは、ロックン・ロール・スター、リトル・リチャードLittle Richard(1932―2020)に影響されるが、10代のころはまだ味わいの足りない絶叫型のシンガーだった。レディングにチャンスが巡ってくるのは、1962年、彼がジョニー・ジェンキンズJohnny Jenkins(1939―2006)のバックマン兼運転手としてメンフィスのスタックス・レコードにやってきたときだった。ジェンキンズのレコーディングの合い間に、彼は1曲歌わせてほしいと願い出る。それが「ジーズ・アームズ・オブ・マイン」という曲だった。燃え上がる恋の情熱を必死に抑えているようなこのバラードは、1963年、スタックスからシングル盤として発売され、レディングは期待の新人としてデビューすることになった。

 人気シンガーとして活躍したのは4年ほどの短い間だが、多くの名唱を残した。バラードの名作「愛しすぎて」や「この強き愛」をはじめとして、抜群のリズム感とダイナミックな声を聴かせる「アイ・キャント・ターン・ユー・ルース」、彼にとってアイドルであったサム・クックの「シェイク」やローリング・ストーンズの「サティスファクション」のカバーなどである。それぞれ曲のスタイルは違っても、必ずその声にはレディングの優しい人柄がにじみ出ていた。

 ソウル・ミュージックの真意が「人間の魂を歌う」ことであるとするなら、レディングはその代表的シンガーだった。「リズム・アンド・ブルース」はかつて商業用語としてつくられた言葉であるが、「ソウル」は1950年代から1960年代の黒人解放運動において、大衆のなかで自然に生まれてきた言葉である。レディングは社会的なコメントや政治批判など一言も歌にしなかったが、彼の歌声は充分にソウルフルであり黒人の魂を歌っていた。南部を中心としたレディングの評価の高さの理由は、こういう点にあった。

 レディングの作品と歌唱は海を渡り、イギリスのロック・バンドにも注目されていた。その好例がローリング・ストーンズで、彼らはレディングの「この強き愛」や「ペイン・イン・マイ・ハート」をカバーし、ロック・ファンにレディングの名前を知らしめた。また1967年、モンタレー・ポップ・フェスティバルでの彼の圧倒的なボーカルは、フェスティバルの聴衆はもちろん、のちに映像でその姿を見ることになった日本などのファンにも、レディングがソウル・ミュージックの第一人者であることを印象づけた。

 そしてモンタレー出演の半年後、帰らぬ人となる。この突然の死が、レディングをさらに特別な存在にした。残されたのは「ドック・オブ・ザ・ベイ」(1968)という、力強い歌唱を得意としていた彼にとっては初めての静かで沈んだような歌だった。この曲は同年、リズム・アンド・ブルースとポップのヒット・チャートで1位を獲得した。

[藤田 正]


レディング(イギリス)
れでぃんぐ
Reading

イギリス、イングランド南部にあるユニタリー・オーソリティーUnitary Authority(一層制地方自治体)の都市。ロンドンの西約60キロメートルにある。面積40平方キロメートル、人口14万3124(2001)。テムズ川とケネット川の合流点に位置する交通の要衝で、古くから近在農村の物資集散地として栄えた。現在はビスケット、印刷、機械、薬品、醸造などの軽工業も立地する商工業都市となっている。1892年創立のレディング大学は、とくに農業、酪農、園芸などの分野で優れている。

[井内 昇]


レディング(アメリカ合衆国)
れでぃんぐ
Reading

アメリカ合衆国、ペンシルベニア州南東部、シュイルキル川に臨む都市。人口8万1207(2000)。ペンシルベニア・ダッチ・カントリーの商工業の中心地で、交通網が発達する。かつては合衆国の鉄の町として繁栄し、大砲製造はとくに有名であった。現在も鉄製品の製造は盛んではあるが、食品加工、繊維、衣料、製薬、皮革など多くの工業が発達する。1748年に入植が始まり、1847年に市制が敷かれた。

[作野和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レディング」の意味・わかりやすい解説

レディング
Reading

イギリスイングランド南部の都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。旧バークシャー県に属する。1998年に単一自治体となった。ロンドンの西約 60km,ケネット川がテムズ川に合流する地点に位置する。アングロ・サクソン時代にさかのぼる古い町で,年代記によると 871年デーン人に攻撃されたことが記されている。1121年ベネディクト会の修道院が建設されると,ヘンリー1世は町を修道院に付与したため,12~16世紀には修道院と商人ギルドが特権をめぐり抗争を繰り返したが,この間織物工業で発展。17世紀には織物工業が衰えるとともに,清教徒革命でも大きな損害を受けた。種苗栽培で知られる農業地帯の集散地で,穀物や家畜の取り引きが盛んなほか,工業都市でもあり,特にビスケット製造で有名。ほかに印刷,鉄冶金,機械,コンピュータ,煉瓦などの工業がある。レディング大学(1926)は農業,園芸,酪農の分野で特に重要な役割を果たしている。面積 40km2。人口 14万5100(2005推計)。

レディング
Reading

アメリカ合衆国,ペンシルバニア州南東部にある都市。フィラデルフィアの北西 93km,スクールキル川沿いに位置する。 1748年ペンシルバニア州の開拓者 W.ペンの息子らが市街地を計画して発足。最初の定住者にはドイツ人が多く,いまでも往時の面影を伝える民族祭が盛大に行われる。独立戦争中は大砲が製造されたが,現在も工業が盛んで,自動車部品,鉄道車両,鋳造,織物などの工業が発達。ペンシルバニア州立大学やテンプル大学,博物館,美術館など学術機関・施設も多い。人口7万 8380 (1990) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「レディング」の意味・わかりやすい解説

レディング
Reading

イギリス,イングランド中央南部,バークシャーにある商工業都市で州都。人口14万4200(2003)。地名は古英語で〈レーダ族の人々〉を意味する。ロンドンの西約60km,テムズ川とその支流のケネット川の合流点に位置し,鉄道・運河交通の要地にあたる。古くから周辺農村の物資の集散地であったが,現在は有名なビスケット製造,種苗育成のほか,機械,醸造,鋳鉄などの工業がみられる。871年サクソン人の集落がデーン人に占領され,1006年には焼き払われた。ベネディクト会修道院が設立された1121年以降再び発展,中世には繊維取引の中心ともなったが,ピューリタン革命中に破壊された。1485年創立のグラマー・スクールや,1892年にオックスフォード大学の一部として設立され,1926年に独立の総合大学となったレディング大学があり,その農業・酪農学部は著名である。
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レディング
Reading

アメリカ合衆国ペンシルベニア州南東部,バークス郡の郡都。人口8万1207(2000)。スクールキル川に面し,ペンシルベニア・ダッチ(ドイツ系の人々)地域の商業,工業,交通の中心地。繊維・織物,衣類,皮革製品,鉄鋼製品などの工業がある。1748年に集落が建設され,1847年に市制施行。かつては製鉄業が盛んで,独立革命のときは大砲の供給地であった。
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百科事典マイペディア 「レディング」の意味・わかりやすい解説

レディング(イギリス)【レディング】

英国,イングランド南部バークシャー州の州都。ロンドン西方約40km,テムズ川に沿う古い都市。ビスケット,種苗の特産が広く知られ,ほかに製紙,農機具,家具などの工業がある。大学(1926年創立)がある。交通の要地で周辺の農畜産物の取引の中心。15万5698人(2011)。
→関連項目バークシャー

レディング(アメリカ)【レディング】

米国,ペンシルベニア州南東部に位置する工業都市。ペンシルベニア炭田の一中心として発達,鉄鋼,衣類,繊維などの工業が行われる。8万8082人(2010)。

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20世紀西洋人名事典 「レディング」の解説

レディング
Marquess Gerald R. Reading


1889 - ?
英国の政治家。
第一次大戦に従軍、1943年代将、’44年退役。’51年自由党から保守党に変わり、チャーチル内閣成立とともに外務政務次官となる。’53〜56年外交担当国務相を務める。その間の’54年のSEATO会議では英首席代表となる。侯爵。

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

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