デジタル大辞泉
「ブラス」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ブラス
- 〘 名詞 〙
- ① ( [英語] brass ) 真鍮(しんちゅう)。黄銅。
- ② ( [英語] brass instrument の略 ) 金管楽器。真鍮楽器。〔アルス新語辞典(1930)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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ブラス
Brus, Louis
[生]1943.8.10. オハイオ,クリーブランド
ルイス・ブラス。アメリカ合衆国の物理化学者。フルネーム Louis Eugene Brus。「量子ドットの発見と合成」に関する研究により,ロシア生まれの物理学者アレクセイ・エキモフとフランス生まれの化学者ムンジ・バウェンディとともに 2023年のノーベル化学賞(→ノーベル賞)を受賞した。
高校卒業後,海軍予備役将校訓練課程 NROTCの奨学金を得てヒューストンのライス大学に入学し,1965年に化学物理学の学士号を取得。海軍勤務を延期し,1969年にコロンビア大学で博士号を取得。その後,少尉として 1969年から 1973年までワシントンD.C.のアメリカ海軍研究所に勤務した。退役後はニュージャージー州の AT&Tベル研究所(→ベル研究所)で技術者として働き,ナノ結晶と半導体材料の実験を開始した。1996年にコロンビア大学の化学教授に就任。1998~2008年アメリカ国立科学財団材料研究科学工学センターの研究グループ責任者,2009~14年エネルギー省エネルギーフロンティア研究センターの共同理事長。
量子ドットとは,ナノメートル(記号 nm。1nmは 1mの 10億分の1)サイズの非常に小さな半導体の微粒子で,その最大の特徴は粒子の色が組成ではなくサイズによって異なる点である。物質をナノサイズに閉じ込めると,量子論の効果によってその光学的な性質が大きく変化することは 1930年代から予言されていた。1982年のブラスの量子ドット QDの発見は偶然の出来事だった。ブラスの研究グループは半導体を用いて化学反応を促進させる研究に興味をもち,溶液中の硫化カドミウム CdSのナノ粒子を観察した。新しく生成された CdSナノ粒子の吸収スペクトルが,前日に生成されたそれと異なることに着目し,これはナノ粒子のサイズが大きくなったためだと考えた。測定の結果,新しい CdSナノ粒子の直径は約 4.5nm,古い CdSナノ粒子は約 12.5nmで,量子ドットの色がサイズによって変化することを発見した。なお,エキモフは 1981年に量子ドットの発見を発表していたが,冷戦時代のソビエト連邦の論文誌であったため,ブラスは 1984年までエキモフの発見について知らなかった。
2005年アメリカ化学会 ACSの材料化学賞,2006年アメリカ光学会の R.W.ウッド賞(エキモフおよびロシアのアレクサンドル・エフロスと共同受賞),2008年ナノ科学部門のカブリ賞,2010年化学部門のアメリカ科学アカデミー賞受賞。1980年アメリカ物理学会会員,1998年アメリカ芸術科学アカデミー会員,2004年アメリカ科学アカデミー会員選出。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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