ブラントン(読み)ぶらんとん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラントン」の意味・わかりやすい解説

ブラントン
ぶらんとん
Richard Henry Brunton
(1841―1901)

イギリス技術者幕末・明治初期のお雇い外国人技術者。スコットランドアバディーンシャーに生まれる。父は船長であった。私立学校卒業後、鉄道工事の見習技師となり各地の工事に従事した。その後、徳川幕府の依頼を受けたスティーブンソン兄弟David Stevenson(1815―1886)、Thomas Stevenson(1818―1887)の斡旋(あっせん)で1868年(慶応4)来日し、本格的な洋式灯台の建設に携わった。さらに新時代の工学知識と西欧技術を多方面からの依頼に応じて発揮し、鉄道建設の必要を建言のうえ、まず東京―横浜間の鉄道敷設を説いた。また、横浜にあった鉄(かね)の橋の吉田橋の架設横浜居留地の公園計画、下水道敷設などを行った。横浜の都市づくりに多くの提案を残し、1876年(明治9)帰国した。

[藤原恵洋・村松貞次郎 2018年8月21日]

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朝日日本歴史人物事典 「ブラントン」の解説

ブラントン

没年:1901(1901)
生年:1841.12
明治期に来日したお雇い外国人。イギリス人技師。スコットランドのアバディーンシャー生まれ。私立学校卒業後鉄道工事の見習い技師となり,次いでロンドンに出て鉄道工事に従事。駐日全権公使パークス幕府より開国後の日本における灯台建設の技術者を斡旋するよう要請を受けたため,エジンバラのスティーブンソン兄弟社にその人選を依頼し,同社に推薦されたブラントンが助手2人と共に明治1(1868)年8月に来日した。灯明台築造方首長として,イギリス船を用いた洋上調査をし,灯台予定地の精測と新たな必要箇所の建議をし,スティーブンソン社の設計をもとに,8年間の滞日中に28基の灯台を完成した。その間,京浜鉄道建設など政府の諮問にこたえて各種の建策をし,岩倉遣外使節団の欧米視察のときはスコットランドでの案内役を務めた。9年に帰国し,14年にグラスゴーで催された国際海事博覧会では「日本の灯台」と題する講演をした。<参考文献>海上保安庁灯台部編『日本灯台史』,北政巳『国際日本を拓いた人々』

(三好信浩)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラントン」の意味・わかりやすい解説

ブラントン
Brunton, Richard Henry

[生]1841.12. アバディーン
[没]1901. ロンドン
イギリスの来日技師。駐日公使 H.パークス仲介で慶応4 (1868) 年夏来日。民部省雇となり,初め江戸協約に規定されていた沿岸各地の灯台建設を担当。のちにはさらに増設計画に従い,1876年3月満期解任にいたるまで,30ヵ所に及ぶ灯台を完成した。このほか,大阪などの築港計画にも協力し,鉄道建設など諸種の進言を行い。また,電信技師の来日を斡旋した。

ブラントン
Brunton, Sir Thomas Lauder

[生]1844.3.14. ロックスバラ,ヒルトンズヒル
[没]1916.9.16. ロンドン
イギリスの医師。 1865年,エディンバラ大学を卒業し,70年ロンドンのミドルセックス病院の医学および薬理学講師。翌年から 1904年まで聖バーソロミュー病院で同じ職にあった。 1867年狭心症の治療に亜硝酸アミンを初めて使用したほか,心臓血管系に及ぼす薬物の作用の研究で業績を残した。近代薬理学の創始者といわれる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ブラントン」の解説

ブラントン Brunton, Richard Henry

1841-1901 イギリスの技術者。
1841年12月生まれ。1864年ロンドンにでて鉄道工事に従事。慶応4年(1868)灯台設置のため幕府の招きで来日。つづいて新政府にやとわれ,観音崎灯台はじめ各地の灯台28基を建設した。明治9年帰国。1901年ロンドンで死去。60歳。スコットランド出身。

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デジタル大辞泉プラス 「ブラントン」の解説

ブラントン

アメリカン・ウイスキーの銘柄のひとつ。シングル・バレル・バーボン。

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