日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブリュローフ」の意味・わかりやすい解説
ブリュローフ
ぶりゅろーふ
Карл Павлович Брюллов/Karl Pavlovich Bryullov
(1799―1852)
ロシアの画家。木彫師の子としてペテルブルグに生まれ、ペテルブルグ美術アカデミーにおいてイワーノフおよびエゴロフに師事した。1823年から35年までイタリアで研究、35年に帰国してペテルブルグ美術アカデミーの教授となったが、50年にふたたびイタリアへ赴き、以来ローマ近郊のマルチャノで死去するまで制作した。代表作の一つ『ポンペイ最後の日』(1827~33、サンクト・ペテルブルグ、ロシア美術館)は、ロシア美術史上でも記念すべき歴史画の大作である。そこには時代の変革が生き生きと描かれ、新しい人間への賛歌が読み取れる。また、肖像画にも優れた腕前を発揮して『クルイロフ』(1839)、『M・ランチー』(1852)、『自画像』(1848、いずれもモスクワ、トレチャコフ美術館)などが有名。あふれるばかりの才能をもちながら、故国ロシアで制作できなかったことはブリュローフにとっての不幸であった。
[木村 浩]