フランス出身の,ルネサンス期ネーデルラントの印刷・出版業者。オランダ名プランテインChristoffel Plantijn。トゥール近郊サンタベルタンSaint-Avertin生れ。パリとカンで書物の製作と販売を学んだ後,1549年アントワープに居を定める。83年ライデン大学の印刷師となった以外は,終生同地で活動。彼の経営する印刷・出版所は最盛期に20台近くのプレス式印刷機を備えて,当時ヨーロッパ最大の規模を誇り,出版点数も1500点余に及んだ。活版と装丁の技能にすぐれ,経営の才に富んでいたばかりか,広い学識と宗教的関心をもち,学者や要人との交友関係も広かった。そのため出版物も,神学,典礼,科学,文学,語学と多様な分野にわたり,再洗礼派からカトリックと広い思想的傾向に彩られている。ことに,スペイン王フェリペ2世の後援のもとに68年から72年にかけて,《王の聖書Biblia Regia》の名で知られる8巻本の聖書(ヘブライ語,ギリシア語,ラテン語など)を出版した。この印刷・出版所は当時の姿で残されており,プランタンと,その女婿で後を継いだモレトゥスJ.Moretusの名を冠した,アントワープ市立の博物館となっている。
執筆者:森本 芳樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ブリューゲルの素描をP.van derヘイデン,F.ヒュイスらに複製させるなど,版画による表現様式を国際的に普及させた。〈四方の風〉はプランタンの店ができるまで,主要な版画店としての役割を担った。【小池 寿子】。…
…またコルネリス・コルトがローマでアゴスティノ・カラッチを通じてアカデミズム版画の形成に寄与したように,いずれもそれぞれの土地の17世紀の版画のみならず,絵画の形成にも参画している。H.コック未亡人から原版を買い受けるなどして二十数台の印刷機を擁するヨーロッパ最大の出版業を営んだのはC.プランタンであり,彼は当時最盛期にあったスペイン植民地における教会用印刷物供給の独占権をフェリペ2世から得た。日本のイエズス会系洋風画(16世紀)の原型の大部分がアントワープ製版画に基づくのも,上記のことと無関係ではない。…
※「プランタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新