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プロドラッグ prodrug

翻訳|prodrug

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

プロドラッグ
prodrug

そのままでは目的の薬理作用を発揮せず,生体内へ吸収された後,代謝されて初めて薬理活性を発揮するようになっている薬物をいう。たとえば,非ステロイド性抗炎症剤は,炎症部位のプロスタグランジン産生を抑制して炎症を抑えるが,経口剤として服用した場合,胃粘膜のプロスタグランジン合成も抑制する。胃粘膜上では,プロスタグランジンは粘膜保護作用を発揮しているので,そこでの合成抑制は,食欲不振などの副作用を生じやすくさせてしまう。プロドラッグ構造の非ステロイド性抗炎症剤を使用すれば,吸収時は薬理作用がないので胃腸障害を防げる。また,代謝されてから薬理活性を発揮するため,速効性はないが,作用発現時間が長いという利点もある。ただし,肝臓に負担がかかるため,肝機能が低下している場合は慎重な投与が必要である。

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大辞林 第三版の解説

プロドラッグ【prodrug】

生体内で代謝されることにより薬効を現すような化学構造をした薬剤。胃腸障害などの副作用を軽減できる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

プロドラッグ
ぷろどらっぐ
pro-drug

そのもの自体は薬理作用はないが、生体内で代謝されて初めて活性物質に変化して薬効を現す薬物。すなわち、プロドラッグをつくるということは、生理活性を有する化合物を化学的に修飾して作用のないものとし、生体内で酵素的に元の活性物質に戻すような化合物をつくることを意味する。プロドラッグの目的は、安定性の向上、副作用の軽減、生物学的利用性の改善、不快な味やにおいの遮断、水溶性の向上、作用の持続化などがあげられる。実例としてタランピシリン(ペニシリン系抗生物質)をあげることができる。タランピシリンはアンピシリンをエステル化したもので、そのものは抗菌力は示さないが、腸壁内のエステラーゼで分解されて元のアンピシリンとなって抗菌力を現す。吸収が大で、血中濃度も上昇する。テガフール(制癌(がん)剤)はフルオロウラシルのプロドラッグで、副作用を減じた例である。苦味を遮断した例にプロピオン酸ジョサマイシン(マクロライド系抗生物質)があり、水溶性を増加させたプロドラッグの例にはコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤)がある。とくに抗生物質や消炎鎮痛剤などでは生物学的利用性の向上、副作用の軽減を目的として新しい医薬品が開発されている。プロドラッグは新医薬品開発の一つの方法であるといえる。[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のプロドラッグの言及

【ドラッグデザイン】より

…このような場合,薬物の物理化学的性質を考慮に入れて,化学構造式を設計する必要がある。さらに,生体内で代謝をうけて有効な薬物となるものもある(これがプロドラッグである)。この場合は代謝作用を考慮しなければならない。…

※「プロドラッグ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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