出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
α(アルファ)-ジケトンの一つ。ジベンゾイル、ビベンゾイル、ジフェニルグリオキサールなどの別名をもつ。
ベンゾインの酸化により得られる。化学式C6H5COCOC6H5。黄色柱状結晶で、水には溶けないが、エタノール(エチルアルコール)、エーテルに溶ける。エタノールに水酸化カリウムを溶かした溶液(エタノールカリとよばれる)と加熱すると、転位反応によりベンジル酸になる。この反応をベンジル酸転位という( )。
なお基名のベンジルbenzylは、トルエンのメチル基の水素1個を除いたC6H5CH2-の名称である。
[廣田 穰 2016年2月17日]
【Ⅰ】benzil.diphenylethanedione.C14H10O2(210.23).ビベンゾイルともいう.ベンゾインの酸化(硝酸酸化または硫酸銅のピリジン溶液で空気酸化)により生成される.黄色の柱状晶(エタノールから再結晶).融点95 ℃,沸点346~348 ℃,188 ℃(1.6 kPa).水に不溶,エタノール,エーテル,ベンゼンに可溶.還元するとデオキシベンゾインになる.アルコールカリを加えて温めると転位が起こってベンジル酸になる(ベンジル酸転位).ベンジルのジオキシムには,α(融点237 ℃),β(融点206 ℃),γ(融点166 ℃)の3種類の異性体がある.光重合開始剤,印刷インキ,有機合成原料に用いられる.[CAS 134-81-6]【Ⅱ】benzyl.トルエンの側鎖メチル基から,H原子1個を除いて得られるフェニルメチル基C6H5CH2-の名称.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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