benzenemethanol.C7H8O(108.13).C6H5CH2OH.天然には,ジャスミン,イランイラン,アカシアなどの多くの花精油中に遊離または酢酸,安息香酸,ケイ皮酸などのエステルの形で存在している.合成するには,塩化ベンジルを加水分解するか,ベンズアルデヒドの還元やカニッツァーロ反応によってつくることができる.芳香をもつ液体.融点-15.3 ℃,沸点206 ℃.1.0493.1.5426.アルコール系およびベンゼン系の多くの有機溶媒に可溶,水に微溶.空気中の酸素で徐々に酸化され,ベンズアルデヒドを経て安息香酸を生じる.化粧品やせっけん用の香料として用いられるほか,保留剤として,ジャスミン,その他香料の調合など,香料工業において広く使われる.局所麻酔性,防腐性があるので,注射剤の調整にも利用される.[CAS 100-51-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
最も簡単な芳香族アルコール。弱い芳香をもつ無色の液体で,融点-15.5℃,沸点205.41℃。アカシアの花精油中に遊離状でみられるほか,ジャスミン,クチナシの花精油,丁字油などにエステルの形で存在する。ベンズアルデヒドの還元あるいは塩化ベンジルのアルカリ加水分解によって得られる。空気により酸化され,徐々にベンズアルデヒドから安息香酸となる。アルコール系,ベンゼン系の多くの溶媒に溶ける。化粧品,セッケン用香料として,人造花精油の調合剤として用いられる。エステル原料としても重要であるほか,局所麻酔性および防腐性を有するため医薬用にも用いられている。
執筆者:中井 武
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