ホッジ予想(読み)ホッジよそう(英語表記)Hodge conjecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ホッジ予想
ホッジよそう
Hodge conjecture

1941年にイギリスの数学者ウィリアム・ホッジによって定式化された,代数幾何学における予想。1950年に開催された国際数学者会議における講演で予想として提唱された。代数幾何学はいくつかの多項式で定められた図形の性質を研究する数学の分野である。複素変数(→複素数)のいくつかの斉次多項式(→同次式)の値が 0になることで定まる図形を複素射影的代数多様体という。複素射影的代数多様体は複素射影空間部分集合とみなし,ここでは特異点をもたないものを考える。複素射影的代数多様体において次数が kの調和微分形式が生成する線形空間を k次コホモロジーと呼ぶ。このような k次のコホモロジーのうち正則微分の次数が pで反正則部分の次数が qであるような調和微分形式で生成される部分空間をタイプ(p,q)のコホモロジーと呼ぶ。k次コホモロジーは,p+q=k となるようなタイプ(p,q)のコホモロジーの和に分解する。これをホッジ分解と呼ぶ。複素射影的代数多様体においてさらにいくつかの斉次多項式が 0になるような部分集合を代数サイクルと呼ぶ。ホッジ予想とは「タイプ(p,p)のコホモロジーの要素は,常に代数サイクルの線形結合で実現される」という予想である。p=1 の場合は正しいことが知られている。また,アーベル多様体などいくつかの複素射影的代数多様体について正しいことが確かめられている。2000年にアメリカ合衆国のクレイ数学研究所が数学の七つの未解決問題をミレニアム問題として提出し,それぞれの問題に 100万ドルの懸賞金をかけた。ホッジ予想はこれらの問題の一つとしてあげられている。

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