ホッペ・ザイラー(読み)ほっぺざいらー(英語表記)Ernst Felix Immanuel Hoppe-Seyler

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホッペ・ザイラー」の意味・わかりやすい解説

ホッペ・ザイラー
ほっぺざいらー
Ernst Felix Immanuel Hoppe-Seyler
(1825―1895)

ドイツの生理化学者。初め医者になったが、1856年ベルリン大学で病理学者ウィルヒョウ助手となり、1861年にチュービンゲン大学教授、1872年にストラスブール大学の教授になった。ヘモグロビンおよびその誘導体の研究を行った。また動物体における酸化メカニズム腐敗発酵に関する生化学などの研究も行った。1877年に『生理化学雑誌』を創刊、その編集で生化学の発展に寄与した。この雑誌は彼の名を冠し『ホッペ・ザイラー生理化学雑誌』Hoppe-Seylers Zeitschrift für Physiologische Chemieとなり、現在も『Biological chemistry』となって刊行されている。

[宇佐美正一郎]

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化学辞典 第2版 「ホッペ・ザイラー」の解説

ホッペ-ザイラー
ホッペザイラー
Hoppe-Seyler, Ernst Felix Immanuel

ドイツの生理化学者.ハレ大学ライプチヒ大学,ベルリン大学で医学を学び,1851年ベルリン大学より学位を取得.1856年ベルリン大学でR. Virchowの助手となり,1860年同大学助教授,1861年チュービンゲン大学教授となる.1872年シュトラスブルク大学教授となり,世界ではじめての生理化学教室を開いた.血液や尿などを研究し,ヘモグロビン酸素と結合してオキシヘモグロビンを形成することを明らかにした.また,レシチンコレステロールの研究や,細胞内酸化過程,発酵,タンパク質腐敗物の研究を行い,生化学の基礎を築いた.1877年に創刊され,現在“ホッペ-ザイラー”の名を冠する“生理化学雑誌”(Zeitschrift für physiologische Chemie)は,この分野では世界で最初の専門誌である.また,有能な後進を指導し,A. Kossel(コッセル)や核酸を発見したF. Miescher(1844~1895年)らを輩出した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホッペ・ザイラー」の意味・わかりやすい解説

ホッペ=ザイラー
Hoppe-Seyler, Ernst Felix (Immanuel)

[生]1825.12.26. フライブルク
[没]1895.8.10. ボーデン
ドイツの医師,生化学者。今日「生化学」と呼ばれる学問分野 (当時の生理化学) の先駆者。 1856年よりベルリン大学で R.ウィルヒョーの助手。のち同大学助教授。テュービンゲン大学教授 (1861) を経て,シュトラスブルク大学の生理化学教授 (72) 。血色素,蛋白質,葉緑素の化学的研究,体液や体組織の分析,代謝の研究などで,多くの業績を上げた。また,ヘモグロビン結晶の形で取出すことに成功。 77年に初めて生化学専門学術誌"Zeitschrift für Physiologische Chemie"を創刊し,終生編集にあたった。

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改訂新版 世界大百科事典 「ホッペ・ザイラー」の意味・わかりやすい解説

ホッペ・ザイラー
Ernst Felix Immanuel Hoppe-Seyler
生没年:1825-95

ドイツの生理化学者。医師として出発したが,ベルリン大学でR.フィルヒョーの門に入って研究者となる。ヘモグロビン,葉緑素(クロロフィル),タンパク質など各種生体成分の研究や,生体内酸化,発酵,腐敗などの化学的研究で業績をあげ,現代の生化学の起点である生理化学の確立者となった。1872年にシュトラスブルク(現,ストラスブール)大学教授。77年に《生理化学雑誌》を発足させ,有名な創刊の辞を書いた。この雑誌は今日も彼の名を冠して続いている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のホッペ・ザイラーの言及

【チトクロム】より

…マックマンC.A.MacMunnが1886年に筋肉その他の動物組織中に見いだし,ヘミンに類似の吸収帯を示すことからミオヘマチンmyohematinと呼んだ色素がこれにあたる。しかしこの発見はE.F.I.ホッペザイラーの強い反対にあって,一時期忘れさられるに至った。1925年になってD.ケイリンは,この色素が好気性生物に広く分布し,運動その他の生理的活動に伴って可逆的に酸化還元を行うことを指摘した。…

※「ホッペ・ザイラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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