ボージャン(英語表記)Lubin Baugin

改訂新版 世界大百科事典 「ボージャン」の意味・わかりやすい解説

ボージャン
Lubin Baugin
生没年:1610ころ-63

フランスの画家。〈プティ・ギード(小グイド)〉と呼ばれたように,イタリアにわたり当時人気のあった画家グイド・レーニの影響を受けた。ブロンド色調,薄暗がりの微妙な描法,静かで弱々しい人物表現などが《羊飼たちの礼拝》や《聖母子》などの宗教画に見られるが,彼の本領静物画に発揮される。《五感》や《ウエハースの皿》,《燭台に照らされる書物と紙》の光の表現は繊細な知性を感じさせる。それらは静物画にある寓意的な〈虚栄〉の意味から離れて,対象そのものの表現に心を注ぐ北方的な写実主義系譜の上にある。宗教画と静物画の画風の違いは,研究者の間で別々の画家であるとする論議を生んでいる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボージャン」の意味・わかりやすい解説

ボージャン
Baugin, Lubin

[生]1612頃.ロアレ,ピティビエ
[没]1663.7.11. パリ
フランスの画家。 1651年に王立アカデミー会員となり,中世風の宗教画を描いたといわれるが,約 20点の作品が残存するのみで,そのうち確実な現存作品は『五感』と『巻菓子のある静物』 (ルーブル美術館) を含む静物画数点のみとされている。明晰な秩序と緻密な描写で,17世紀フランスの静物画の傑作として有名。

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