マサイ(読み)まさい(英語表記)Masai

翻訳|Masai

日本大百科全書(ニッポニカ)「マサイ」の解説

マサイ
まさい
Masai
Maasai

アフリカ、ケニアの中央高地帯からタンザニア中部の平原にかけて住むパラ・ナイル系の牧畜民。人口はケニア側に38万(1989)、タンザニア側にも10万以上が住む。17~18世紀にナイル川上流から南下してきたと考えられる。ウシ、ヤギ、ヒツジを飼うが、ウシにもっとも大きな価値を置く。ケニア、タンザニアの現在の都市の名のいくつかはマサイ語に起源をもっている。たとえばケニアの首都ナイロビは「涼しい場所」という意味のマサイ語に由来する。マサイの襲撃は、東アフリカ一円で恐れられていた。彼らと隣接して住むバントゥー系の農耕民であるキクユ、カンバ、メルなどはマサイとの長い闘いの歴史を語り伝えている。一方、そのため互いの接触も頻繁で、共通の慣習や制度、また混血も多い。マサイは単一の集団ではなく、十数集団に分かれる。しかもマサイと近縁の民族も多く、ケニア北部のサンブルやタンザニア、メルー山の農耕民化したアルーシャなどがある。村はほとんど半定住であり、3~4年ごとに移動する。乾期には、遠くの水場まで家畜を連れて行き、そこに一時的なキャンプをつくる。社会は基本的に民主的で平等であり、1か所に権力が集中することや権威に服従することを嫌う。政治的な調整は、よく発達した年齢組と年齢階梯(かいてい)を組み合わせた年齢集団体系によって行われる。父系クラン(氏族)をもち、一夫多妻が支配的である。男女ともに割礼を行う。

[加藤 泰]

『サンカン著、佐藤俊訳『我ら、マサイ族』(1989・どうぶつ社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版「マサイ」の解説

マサイ【Masai】

正しくはマアサイMaasai。東アフリカのケニア南部からタンザニア北部にかけての約10万km2の土地に住む人々の呼称。人口約23万。言語はマアMaa語。社会生活ではスワヒリ語,英語を話す者が多い。 15世紀以後,ス-ダン南部から移動し始めたマサイ人は,17世紀にはタンザニアの北部に到達したと見られる。マサイ人は牛糞の家に住み,髪型,衣装武器など独特な装いの文化を持つ典型的な牛牧畜民として広く知られているが,現在では定住農耕民となる者,また都会での政治経済面における労働者となる者も徐々に増えてきている。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

今日のキーワード

物言う株主

上場企業の経営に自らの考えを表明して積極的に関わる株主。株主総会で独自の議案を提出したり、役員などを送り込んだりして経営改革を迫ることもある。アクティビスト。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android