マタニティ・ブルー(読み)マタニティブルー

百科事典マイペディア 「マタニティ・ブルー」の意味・わかりやすい解説

マタニティ・ブルー

出産後の母親に起こるさまざまな鬱(うつ)症状不安神経症状の総称産褥神経症とも。出産直後から3ヵ月ぐらいの間で,特に離乳期や月経再開期に起きることが多い。育児ノイローゼとの明瞭な区別はないが,一般的にマタニティ・ブルーは,より短期間で治まる一過性の症状を指す。言葉から受けるイメージがあまり病的でないことからも,医師や医学雑誌などでよく用いられる。 何をしてもつまらない,よく泣く,絶望感,疲労感,セックスに関心がもてない,不眠食欲減退などの症状が2週間以上続くと,マタニティ・ブルーと診断される。はっきりした原因はなく,生理的,心理的,環境的な要因が絡まり合い引き起こされると考えられている。生理的な要因は,出産後の著しいホルモンの変化,慢性的な睡眠不足,遺伝的要素など。心理的な要因は,性格,期待の大きさと裏腹なプレッシャーや自信喪失など。環境的要因は,周囲援助が受けられない,経済的な問題など。 結婚生活や妊娠期間は問題がなく安定していても,突然症状に襲われる場合もある。また,父親や出産を体験していない母親も,マタニティ・ブルーになる可能性はある。大切なのは,症状を自覚し受け入れること。孤立して内にこもらないように心がけ,育児に対する正しい指導や周囲の援助を上手に受けることも必要である。そうして母親としてのアイデンティティが確立できれば,自然に回復する。→鬱病

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マタニティ・ブルー」の意味・わかりやすい解説

マタニティ・ブルー
またにてぃぶるー

子を出産した直後から数日後に母親にみられる軽度のうつ症状。程度の差はあるが、疲れやすくなる、無気力になる、涙もろくなる、怒りっぽくなる、不安や寂しさを訴えるといった症状のほかに、頭痛や不眠および食欲不振といった症状を呈する。原因は不明であるが、出産が原因となる精神的ストレスおよび疲労、ホルモンバランスの変調、育児に伴う睡眠不足、環境や生活状況の変化、育児への不安などによる心理的な反応などが関係しているのではないかと考えられている。産褥(さんじょく)婦の約半数が経験する。多くは一過性のもので1~2週間で回復する。重い症状が長く続く場合は周産期うつ病が疑われるため、医療機関を受診することが望まれる。

大野 裕 2020年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

妊娠・子育て用語辞典 「マタニティ・ブルー」の解説

またにてぃぶる−(ず)【マタニティ・ブルー(ズ)】

出産直後から数日後までの一時的な気分の変調で、約25-30%の人が経験するといわれます。イライラする、ちょっとしたことで涙が出る、気分が変わりやすいなど。不安や緊張、集中力の低下、疲労感や食欲不振、頭痛、夢をよく見るなどを訴える人もいます。でも、これは一時のこと。2週間くらいで自然に落ち着いてくるし、特に治療も必要ありません。でも、中には「産後うつ病」を発症する人もいるので、2週間以上たっても心身の変調がおさまらない、症状が強いなどの場合は医師(お産を扱ってくれた主治医や精神科医、心療内科医など)や助産師・保健師に相談してください。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報

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