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産褥 さんじょくpuerperium

翻訳|puerperium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

産褥
さんじょく
puerperium

妊娠,分娩によって起った母体性器および全身の変化が,妊娠前の状態に復帰するまでの期間。普通6~8週間であるが,授乳した場合のほうが経過は早い。この期間の女性は褥婦と呼ばれる。臓器などが回復する現象は復故現象という。性器の復故は妊娠前とまったく同じ状態に戻るのではなく,は広くなり,陰門が多少開いて腟壁の一部が露出し,腹壁には旧妊娠線を残す。乳腺乳汁分泌を開始し,体温はやや上昇するが,産褥熱との鑑別が必要。排尿はしにくく,便秘傾向になり,放置すれば復故の障害になる。

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デジタル大辞泉の解説

さん‐じょく【産×褥】

出産のとき産婦が使う寝床。「産褥に就く」

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百科事典マイペディアの解説

産褥【さんじょく】

分娩(ぶんべん)後,母体の性器その他が常態に復するまでの期間。正常産褥では子宮の収縮,産道創傷面の治癒(ちゆ)などで6〜8週間。産褥期には悪露(おろ)が分泌され,また産褥1〜3日間に初乳が出る。
→関連項目育児ノイローゼ産科子宮収縮薬出産

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世界大百科事典 第2版の解説

さんじょく【産褥 puerperium】

妊娠・分娩によってもたらされた母体の諸変化が,分娩の終了から非妊正常状態に復元するまでの,6~8週間の期間を産褥または産褥期といい,産褥にある婦人を褥婦puerperantという。この期間は子宮復古,乳汁分泌,内分泌機能などの著しい変化を伴い,心理的にも不安定で,産褥ノイローゼ,精神病が起こりやすい。 子宮復古とは産褥期における子宮の急速な縮小のことで,分娩後の子宮収縮である後陣痛によって復古が促進される。

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大辞林 第三版の解説

さんじょく【産褥】

産婦の使う寝床。 「 -に就く」
産褥期。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

産褥
さんじょく
puerperium

妊娠・出産によって生じた母体の形態的・機能的変化が出産後に妊娠前の状態にほぼ回復(復古)するまでの期間をいう。通常、分娩(ぶんべん)終了後6~8週間にわたるが、個人差があり、同一人でも出産ごとに異なる場合が多い。この期間にある女性を褥婦puerperaという。
 復古のもっとも著明なのは性器で、分娩直後には子宮が固く収縮して腹壁上から子宮底を触れられるが、10日目前後になると子宮底が退縮して触れられなくなる。子宮口や腟腔(ちつくう)も3~4週で復古するが、外子宮口には横裂を残し、腟もやや広く平滑になる。処女膜も痕跡(こんせき)的となる。その他の全身臓器も3~4週で復古するが、腹壁には経産婦multiparaの特徴の一つである旧妊娠線が残される。乳腺(にゅうせん)だけは機能が逆に活発になり、乳汁分泌が始まる。また産褥初期には、子宮の胎盤剥離(はくり)面からの創傷分泌物を主とする性器からの排泄(はいせつ)物がみられ、これを悪露(おろ)とよぶ。
 産褥は本来生理的現象であるが、性器、とくに子宮には大きな胎盤剥離面があり、出血や感染の危険がある。産褥期の保健などについては「産後」の項目を参照されたい。
 産褥期には感染による産褥熱のほか、産褥期精神病や産褥性心筋症などもみられる。すなわち、産褥期には内分泌異常、心身の疲労、環境の変化などに誘発される精神病状態がみられ、抑うつ状態、神経症様状態、錯乱状態、幻覚や妄想状態、アメンチアなどの症状が現れる。また、分娩後2~20週(あるいは分娩前1か月から分娩後5か月)の間にみられる原因不明の心筋症を産褥性心筋症といい、うっ血性心筋症の諸症状がみられる。[新井正夫]

産褥熱

産褥期の代表的疾患で、出産後10日以内に2日間以上にわたって38℃を超える発熱をきたすものを、臨床上、産褥熱とよんでいる。主として分娩により生じた性器の創傷に細菌が感染しておこる疾患で、偶発する伝染性疾患や腎盂(じんう)腎炎などは含まれない。原因菌は、抗生物質など化学療法実施の前後で異なり、ブドウ球菌や溶血連鎖球菌などが減少し、大腸菌や肺炎桿菌(かんきん)などの腸内細菌を主にしたグラム陰性桿菌が増加している。
 産褥熱には、性器あるいは隣接臓器に限局しているものから、全身性で敗血症などをおこす重症のものまである。予防上消毒が第一であり、治療としては化学療法のほか、症状に応じては強心剤などを投与する。絶対安静を守り、保温に注意するほか、高エネルギー食を与える。[新井正夫]

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