翻訳|money market
一般に,経済主体が短い期間,資金を借り入れたり貸し付けたりする金融市場(短期金融市場)をマネー・マーケットと呼ぶ。その期間は通常,最大限1年程度とされるが,厳密な定義はない。各国とも,中央銀行はマネー・マーケットの最も重要な参加者であり,マネー・マーケットにおける中央銀行の資金の供給,あるいは需要がマネー・マーケット利子率に重要な影響を与え,そこに参加している民間銀行その他の行動を左右することになる。それゆえ,マネー・マーケットは金融政策の波及の出発点としても重要である。
マネー・マーケットは,銀行,金融機関だけが参加できるインターバンク・マネー・マーケットと,それら金融仲介機関ばかりではなく,事業会社や個人なども直接取引に参加できるオープン・マネー・マーケットとに分類することができる。前者はほとんどいずれの国においても非常によく発達しており,銀行・金融機関が活発に短期資金を貸借し合っている。
日本でいえば,コール市場,手形市場がこれに該当する。後者のオープン・マネー・マーケットは,国によって発達の程度が大きく異なっている。アメリカやイギリスなどではオープン・マネー・マーケットが比較的古くから発達していたのに対し,日本での発達は必ずしも十分でなく,事業会社や個人の短期資金の運用,調達が銀行・金融機関との取引,すなわち銀行への預金,あるいは銀行からの借入れに依存する程度が比較的高かった。このような発達の相違は,一つには日本の金融市場において銀行の占める地位が圧倒的に大きかったことに求められるが,同時に,アメリカやイギリスでオープン・マネー・マーケットの中心となった政府短期証券treasury billの市場が,日本では制度上の理由から発達しなかったことにも由来するであろう。近年は日本でも現先市場(条件付債券売買市場)の発達を契機として,オープン・マネー・マーケットも急速に発達しつつある。
→金融市場
執筆者:堀内 昭義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…広義の金融市場は,貸借される資金が長期か短期かによって,長期金融市場と短期金融市場に分けられる。資本市場は,このうち長期金融市場をさし,狭義の金融市場あるいは貨幣市場ともよばれる短期金融市場money marketとの対立用語となっている。本来,資本市場という言葉は,企業が設備投資に必要な長期的な資金,すなわち資本を,株式・社債の発行によって調達する過程から生まれたものである。…
※「マネーマーケット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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