ベラルーシ共和国中央部,同共和国の首都。同名州の州都でもある。人口176万5773(2004)。共和国のほぼ中央に位置するミンスク丘陵南面にあり,ベレジナ川支流のスビスロチ川に臨む。モスクワから西へ約750km,東ヨーロッパに抜ける幹線鉄道および道路が通り,共和国の政治・経済・文化の中心である。第2次世界大戦による荒廃の後,ソ連邦政府によって集中的投資がなされ,急速に復興した。現在では緑の中に高層建築がたち並び,直線的道路が縦横に走る近代的都市の外観を呈している。機械工業,金属加工業,軽工業,食品工業,化学工業,建築資材工業などが盛んである。特に自動車工業は有名で,旧ソ連でトラクターと大型トラックの6台に1台を製造していたほどで,ともに共和国の重要な輸出品である。各種の大学,研究機関,共和国科学アカデミー,中央図書館,各種の博物館なども集中している。
市名が史料の上で確認されるのは1067年のポロツク公国とキエフ大公国(キエフ・ロシア)との戦いに関連してであるが,町の発祥はさらに古く,黒海とバルト海を結ぶ通商路の中継基地としてであったと考えられている。ミンスクの名も交易するという意味の〈メニャーチmenyat'〉に由来するといわれる。1101年ミンスク公国の首都となるが,14世紀にはリトアニア大公国下に入った。1569年のリトアニアとポーランドの合同でポーランド領となり,その第2次ポーランド分割(1793)によってロシア領となった。14世紀から18世紀末まではいまだ地方の中規模都市にすぎなかったが,ロシア領となって地域一帯の政治的・経済的中心都市として位置づけられ,急速に発展した。19世紀半ば以降ユダヤ人の居住が認められた数少ない町の一つであった。モスクワへ至る交通の要地にあるため,18世紀の北方戦争,19世紀のナポレオン戦争などでたびたび戦火をあびた。第2次世界大戦でもこの悲劇は繰り返された。現在の市は廃墟の中から,戦前の2倍に拡大され,復興されたものである。
執筆者:横手 慎二
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ベラルーシ(白ロシア)共和国の首都。ポーランドとの国境付近に源流をもつベレジナ川の支流に臨む。人口171万9000(1998)、198万2444(2018推計)。同共和国の工業、商業、学術、文化の中心都市である。ワルシャワからモスクワに至る交通路上の最大の都市で、古来、「バリャーグ(ノルウェー)からギリシアへの道」といわれる南北の商業ルート上の重要な交易都市でもある。ベラルーシ科学アカデミー、大学などの研究教育機関、博物館、美術館、劇場など、文化施設が多く、バロック様式の教会や修道院もみられる。ドイツ占領下の第二次世界大戦中には市街の74%が破壊され、建造物は戦後再建されたものが多く、住宅団地や工業地区も都市計画に従って設けられた。工業製品は各種トラクター、ラジオ・テレビ、時計・カメラ、自動車(ディーゼル・トラック、ダンプカー、トレーラー、木材運搬車)、工作機械などで、ミンスク自動車工場とミンスク・トラクター工場は最大企業である。軽工業は工業生産の22%を占め、毛織物、皮革、食肉、醸造などの工業が都市向け消費を指向して立地している。
[山本 茂]
町の名が年代記に初めて現れるのは1067年のことである。このころはポーロツク公国の一要塞(ようさい)であった。12世紀初めミンスク公国の首都となるが、14世紀初頭にはリトアニア大公国の版図に入った。1499年マクデブルク都市法が導入されて都市としての発展に拍車がかかった。16世紀後半には二つの定期市が開催されるなど、ベロルシアならびに近隣諸国の都市との間に活発な交易が行われた。しかし17世紀中葉のロシア・ポーランド戦争、18世紀初頭の大北方戦争などにより、市は何度も破壊された。第二次ポーランド分割(1793)後ロシア領に併合され、ミンスク県の県庁所在地となった。その後、ベラルーシの商工業、交通の中心地として発展を続けるが、20世紀に入ってドイツ軍(1918)、ポーランド軍(1919)、ナチス・ドイツ軍(1941~1944)の占領を受けるなど、その歩みはかならずしも順調ではなかった。
[栗生沢猛夫]
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ベラルーシ共和国の首都。ロシア帝国時代にユダヤ人の居住が認められた町であった。ロシア社会民主労働党の「第1回大会」がこの町で開かれた。第一次世界大戦中は西部方面軍の司令部が置かれた。独ソ戦ではドイツ軍に占領され,町は破壊された。
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