石油化学コンビナート(読み)せきゆかがくコンビナート

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石油化学コンビナート」の意味・わかりやすい解説

石油化学コンビナート
せきゆかがくコンビナート

石油化学工業に関して,一定の地域で,原料から製品をつくる過程で,製品の種類や生産手段の違ういくつかの生産部門や企業が技術的に結びついた生産体系。企業結合で生産を集中し,原材料の確保の面でむだを省くことによって,コストを切下げ,副産物や廃棄物を多角活用するのがねらい。コンビナートとしては,鉄鋼-機械,鉄鋼-化学の組合せがある。日本では政府が (1) 合成樹脂,合成繊維の原料を確保すること,(2) ポリエチレンポリスチレンなど輸入増加が見込まれる物質を国産化して輸入を防ぐこと,(3) 主要化学原料の価格を引下げ,産業構造の重化学工業化,国際競争力の強化などをねらいとして,四日市岩国,徳山を皮切りに,1950年代から 60年代にかけて,堺,川崎,千葉,鹿島水島,大分などに石油コンビナートがつくられている。各コンビナートの規模は当初エチレン能力生産 10万tであったが,その後年産 30万tに引上げられた。ただし,その後,石油需要が伸び悩み,設備過剰などのため条件が緩和された。

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