モッラー・サドラー(読み)もっらーさどらー(英語表記)Mullā adrā

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

モッラー・サドラー
もっらーさどらー
Mull adr
(1571ころ―1640)

イスラム教シーア派の神秘哲学者。モッラー・サドラーは通称で、本名はサドルッディーン・ムハンマド・シーラーズィーadr al-n Muammad al-Shrzという。イラン・サファビー朝期に発展したシーア派文化の一翼を担う神秘思想家の代表者である。その教説はイブン・アラビーの神秘思想、スフラワルディーの照明哲学、イブン・シーナーの新プラトン主義的アリストテレス哲学を継承・統合し、深い神秘家的洞察を厳格な合理的推論を通して表現したものである。世界の諸存在物は神という純粋存在がさまざまな強弱の程度で顕現したものであり、その存在物はすべてその発出の始源へ向かう帰昇運動のなかに位置づけられる。復活の教義もこの運動のなかで理解され、肉体、霊魂、精神という段階を経て人間の完成、すなわち神への帰還が実現するとする。『精神的な四つの旅についての超越的哲学』など多くの著作があり、後世に大きな影響を与えた。[鎌田 繁]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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