翻訳|monoculture
言葉を直訳すれば〈単一栽培〉であるが,一般には,一国の産業構造,したがって輸出構造が単一,もしくはごく少数の一次産品に偏っている傾向をさす。スリランカの茶,キューバの砂糖,チリの銅,ボリビアのスズなどはその顕著な例である。こうした傾向は今日の発展途上国経済がもつ特徴の一つとされ,このモノカルチャー的な経済構造は植民地時代に形成されたといわれる。植民地本国にとって,植民地は食料,原材料品の供給地であり,同時に工業製品の市場でもあった。そのため本国は植民地政策として一次産品生産に重点を置き,製造業部門の育成を軽視あるいは排除した。その後,各植民地は政治的には独立を達成したが,このような経済構造は根本的な変化を遂げえないまま現在にいたっている。そのため発展途上国は,みずから生産する少数の一次産品の輸出により外貨を獲得し,それによって経済開発を進めざるをえない。しかし,一般にこれらの産品の価格は短期的に激変し,長期的に輸入する工業品の価格に比して下落するという性質をもっている。このことは発展途上国の輸出所得の変動や実質的目減りをもたらし,その開発計画を阻害する。これを解決するためには,国際商品協定等によって一次産品の価格を安定化させる一方,根本的には発展途上国自身が工業化によって,モノカルチャー的な経済構造から脱却することが必要である。
→植民地 →プランテーション
執筆者:村上 敦
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