ロシア連邦に所属するモルドビン人の共和国。正称モルドビア共和国Республика Мордовия/Respublika Mordoviya。現地音にしたがってモルドバ共和国、モルドバ人と記述されることもあるが、東ヨーロッパの独立国モルドバ共和国(首都キシナウ)と混同しやすいため、一般にはモルドビアと表記する。ロシア連邦の南西部にある。面積2万6200平方キロメートル、人口93万7000(1999)。首都サランスク。人口31万6600(1999)。
国土の大部分がプリ(沿)ボルガ丘陵地帯の北西部に含まれ、モクシア川とスラ川の流域にある。大陸性気候で、平均気温は1月零下12~零下11℃、7月20℃、年降水量400~500ミリメートルである。国土の25%が森林で、北部が混交林、南部が森林ステップ地帯に属している。
ソ連成立後の1930年モルドビン人(フィン・ウゴル語派に含まれるモルドビン語を使用)の自治州となり、34年モルドフスカヤ(モルドバ)・ソビエト社会主義自治共和国Мордовская АССР/Mordovskaya ASSRに昇格した。1991年12月のソ連解体でロシア連邦に所属、92年3月、ロシア連邦条約に調印、連邦国家ロシアを構成するモルドビア共和国となった。
住民の多くはロシア人(60.8%)で、モルドビン人は32.5%である(1989)。ほかにタタール人(4.9%)などが住む。木材、製紙、食品、機械、化学の諸工業と、農作物(ライムギ、小麦、大麻(たいま)、テンサイ、ヒマワリ)栽培、牧羊、畜産が主要産業である。国土の北部に自然保護区が設けられ、ビーバーの保護に力が入れられている。
[中村泰三・小俣利男]
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