ヤニングス(読み)やにんぐす(英語表記)Jannings, Emil

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤニングス」の意味・わかりやすい解説

ヤニングス
やにんぐす
Emil Jannings
(1884―1950)

ドイツ俳優スイスロールシャッハ生まれ。船の調理人の助手から舞台俳優となり、1906年ラインハルトドイツ座に参加、1914年に映画初出演。『パッション』(1919)など歴史映画から力量を発揮。『最後の人』(1924)、『ヴァリエテ』(1925)で声価を高め、さらに事実上のドイツのトーキー第一作『嘆きの天使』(1930)では老教師の悲哀苦悶(くもん)を卓抜に表現、これらの重厚で写実的な演技で国際的名声を不動にした。またハリウッド作品にも出演、『肉体の道』(1927)と『最後の命令』(1928)でアカデミー主演男優賞を受賞。『世界に告ぐ』(1941)などナチス宣伝映画に協力したため、第二次世界大戦後映画界を追われた。

奥村 賢 2022年6月22日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤニングス」の意味・わかりやすい解説

ヤニングス
Jannings, Emil

[生]1884.7.23. ロールシャッハ
[没]1950.1.2. ザルツブルク近郊シュトロブル
スイス生まれのドイツの俳優。 1906年に M.ラインハルトに認められて『ファウスト』のメフィストフェレス役を演じた。 1914年映画界に入り『最後の人』 (1924) ,『バリエテ』 (1925) ,『嘆きの天使』 (1930) などの名作に出演し,アメリカ映画『肉体の道』 (1927) と『最後の命令』 (1928) で第1回アカデミー男優賞 (当時は主演,助演の区別はなかった) を受賞。第2次世界大戦後は,ナチスの国策に協力した宣伝映画を数多くつくったという理由で映画界から追放され,オーストリアで隠棲中病死した。

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百科事典マイペディア 「ヤニングス」の意味・わかりやすい解説

ヤニングス

ドイツの映画俳優。舞台で活躍後,1915年映画界入り。《最後の人》(1925年)等で成功し,世界的スターとなる。1927年―1929年渡米し,《肉体の道》等に出演。J.v.スタンバーグが監督し,M.ディートリヒと共演した《嘆きの天使》(1930年)は最大の当り役。

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